過去ログ - 黒髪少女「武器の手入れをお願いします」単眼少女「……」
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◆cZ/h8axXSU
[saga]
2016/01/11(月) 01:58:07.56 ID:X2ffE8rP0
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―――
―
結果は上々
いや、思っていた以上の成果を出した
手渡されたその槍は、テリア本人が手入れをするよりもずっといい仕上がりを見せていた
この店が何故隠れた名店と言われているのかを理解したのだろう
なるほど、と納得すると、テリアはこの槍を持ってきた彼女に声をかける
「噂が流れるだけの事はありますね。恐らく、私が出会った鍛冶師の中でも貴女は最高峰の腕を持っています」
「……」
リップサービスなどではない、心からの称賛
お世辞を嫌うテリアから出たその本心の声は、単眼の彼女の頬を染めさせた
「……そう言ってもらえるのは嬉しい」
気恥ずかしそうに視線を逸らし、静かな声を漏らした
こうしてみれば、サイクロプスも人間と大差ないものだ
その腕の良さを褒めるように、テリアは言葉を重ねる
「それに……この槍自体が少々特殊なものですので。現代の技術でメンテ出来る人がいるだなんて思ってもみなかったんですよ」
その手に握られた"黒槍"はこの時代のものではない
遥か昔に、人と悪魔が共に作り上げた、言わばオーパーツのようなものだ
そんな貴重なものをここまで仕上げる事が出来るのだ。相応の理解力を求められるのも必至なのだから
「……よく分からないけれど……その槍は、凄く綺麗な珍しい槍だから……私も……応えてあげたかった」
今度はこちらが頬を染める
この槍はテリアの半身のようなものだ。そこまで言われてしまえば悪い気もしない
機嫌がよくなったところで、テリアは一つおかしなことに気が付いた
そう、さっきの悪い空気がまったくしないのだ
不思議に思い、目の前の単眼の彼女に話を切り出した
「……おかみさん……部屋に戻ってる」
「ああ……」
原因はそれだ。今まさにサボっている元凶がこの場に居ないのならば雰囲気も良くはなるだろう
あの顔を思い出し、お互い心なしかどんよりとした空気に戻ってしまった
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