過去ログ - 男「はじめまして」
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1:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/11(月) 16:00:58.93 ID:wkt/bPn4o
この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・テレビ番組その他一切と関係ありません。

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:01:36.27 ID:wkt/bPn4o
ルールル ルルル ルールル ルルル ルールールール ルルル

ルールル ルルル ルールル ルルル ルールールール ルー


3:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:02:27.88 ID:wkt/bPn4o
 『女の部屋』――
 誰もがその存在を知っており、おそらく一度は目にしたことがあるであろうテレビ番組である。

 一組のゲストを呼び、司会の女がその近況やエピソードなどを聞きだしていくトーク番組で
 芸能人にとってはこの番組に出演すること自体が一種のステイタスにもなっている。
以下略



4:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:03:21.36 ID:wkt/bPn4o
 女は齢八十を過ぎており、日々の精勤で同年代の老人と比較すればいくらか若々しいとはいえ
 長時間の手術はそれだけで生命を危険にさらす可能性があった。
 また、たとえ手術に成功したとしてもテレビ番組への復帰など絶望的ではないか――
 世間ではそうささやかれていた。

以下略



5:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:04:07.38 ID:wkt/bPn4o
 女に芸能活動が可能かどうか、それは誰にもわからない。そのため『女の部屋』は年末特番という形で
 帰ってくることになった。

 それに特番らしく生放送で一般人のスタジオ観覧ありという、いつも見ていた『女の部屋』とは一風異なる
 性質になっていた。
以下略



6:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/11(月) 16:04:15.76 ID:cE1jTsYVO
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7:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/11(月) 16:04:23.12 ID:T0CVXAMLO
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8:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/11(月) 16:04:29.89 ID:9L/QBBB+O
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9:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:05:06.05 ID:wkt/bPn4o
女「皆さんこんにちは。私事ですが入院しておりまして長らく『女の部屋』をお届けすることができず
  申し訳ありませんでした」

 番組が始まり、客席の拍手に包まれながら女が切り出す。特徴ともいうべき早口はややまろやかであったが
 入院前と変わらぬ女がそこにはいた。
以下略



10:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:06:03.28 ID:wkt/bPn4o
 ゲストに選ばれたのは昼の生放送に最も強い、男。
 女と同じく昼のバラエティ番組の司会を近年まで行ってきた経歴があり、数々の芸能人とのトークで
 その手腕を知らぬものはない。

 万が一、女が司会進行に窮したときに臨機応変な対応で放送を軟着陸できること。
以下略



11:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:06:35.02 ID:wkt/bPn4o
女「男さんには毎年芸をやってもらって私も大変楽しませていただいているんですけれども、
  今年は私自身あんなことになってしまって、もう見ることができないんじゃないかと思っていたので
  とても嬉しいです」

男「いやーそこまで褒めていただくようなものじゃないんですけどね」


12:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:07:30.28 ID:wkt/bPn4o
 事前の打ち合わせで、男にはスタッフの指示で芸を始めることを了承済みである。
 生放送であれば収録より細かい段取りがなされるため、いつ始めるかはおおよその時間が決められるものだが
 今回に関しては女の体調をみてそれに合わせて芸の披露を差し挟むことになっていた。

 それは女にとってCM中以外に小休止する時間が与えられることを意味しており、
以下略



13:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:08:55.13 ID:wkt/bPn4o
 女とゲストを挟むテーブルにはメモ書きが置かれている。
 ゲストのプロフィールや近況などの事前調査が書かれているのだが、女は基本的に番組前には一度それを
 完全に頭に叩き込んだうえでどのような形でそれらを番組に活かすかを計算するのだ。
 それは将棋の棋士が局面から数手先を読むのにも似ており、終了のときまで莫大なエネルギーを消費し続ける。

以下略



14:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:09:48.41 ID:wkt/bPn4o
女「この番組では何度か男さんの『カツラ疑惑』について否定してきましたが、
  今日ははっきりカミングアウトします。
  カツラです。……私が」

男「えっ……カツラなんですか、それ?」
以下略



15:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:10:29.44 ID:wkt/bPn4o
 番組開始から二十分余り。特に問題もなく二度目のCMに入る。
 が、スタッフが期待したほどには女の状態は万全とはいいがたく、CM中はずっと目を閉じて
 一言もしゃべらない。

 呼吸も荒く、男やスタッフはボクシングでラウンド終了のゴングが鳴ってコーナーに戻るボクサーを迎える
以下略



16:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:11:04.18 ID:wkt/bPn4o
女「次のCMはいつ頃ぐらいかしら」

 CM明け前に女がたずねる。
 年末特番で枠が拡大されているのでなければ、あとほんの数分で番組終了のはずだった。
 長寿番組の不死鳥のような復活に、かつてのスポンサー企業は先を争うように名乗りを上げ
以下略



17:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:11:59.32 ID:wkt/bPn4o
女「男さんは本当に料理がお上手で、……その、プロのお料理をする、ええと」

男「昔はプロでしたからね。喫茶店のマスターですけど。
  トーストなんて今でもうまく焼けますよ」

以下略



18:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:12:59.30 ID:wkt/bPn4o
 持ち味ともいえる流れるような話術は明らかに精彩を失っていたが、
 そのつど男が巧みにフォローする。

 生放送でのトーク、という点では男の方が場数を踏んでいる。
 女がどう話を進めたいのか理解したうえで、流れを止めずにさりげなく軌道修正できるのは
以下略



19:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:13:53.31 ID:wkt/bPn4o
 もう少しでCMに入れそうな時間帯に、女の不調が明らかな発言が飛び出した。

女「そういえば男さんの番組に逆に私が出演して、電話で翌日のゲストをご紹介するコーナー、
  あれにまた呼んでくださらない?って、男さんが決められるわけじゃないんですけども」

以下略



20:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:14:49.52 ID:wkt/bPn4o
男「確かに私の一存ではどうしようもないんですけど
  女さんも帰っていらしたことですし、私も昼の帯に戻ってみるのも悪くないなあって
  思ってたところなんですよね」

 客席からええっ、という声があがる。
以下略



21:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[saga]
2016/01/11(月) 16:15:24.48 ID:wkt/bPn4o
 男の好フォローに助けられながらもようやく三度目のCMに入る。
 再び目を閉じて女は回復につとめている。

 番組の三分の二が終わり、CMは残り一回。
 ただしそれはほぼ終了の間際に差し込まれることになっており、実質的にはこれが最後の休憩である。
以下略



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