過去ログ - 咲「誰よりも強く。それが、私が麻雀をする理由だよ」2
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34: ◆JzBFpWM762[saga]
2016/01/18(月) 18:04:19.68 ID:Cykup/hbo
その部品の組み立てはよりによって精密さが求められるもの。ぶっちゃけ、着ぐるみを着た上でやるなどというのは正気の沙汰ではなかった。

あまりの難解さに、ネリー……現在はた目にはアヒルを模したようなマスコットキャラクターに扮した中の人は、その可愛らしい着ぐるみのつくりに反して荒んだ顔つきが容易に目に浮かぶ威圧感を放出していた。

「ああもうっ! おかしいでしょこれ!! 着ぐるみ着てやる作業じゃないよこれ!」

ネリーが、座り込んでいた姿勢から勢いよく立ち上がり、我慢ならない、といった具合に騒ぐ。立ち上がった瞬間に手にしたものを床に叩きつける。本当なら心底そうしてやりたいのだという、苛立ちやら鬱憤が伝わってくる態度だった。

「ま、まあまあ、そうおっしゃらず。慣れですよこういうのは」

ネリーの気分をおもねるような言葉を投げかけるのはアフロ頭の人。

「そんなこというなら自分でやってみなよ!」

「い、いや私は事業主ですから……」

このやりとり、何度目だろう。ネリーと同じく作業に従事していた咲は一旦手を止めて行方を見守る。

全く同じやりとりが繰り返されているわけではないが、似たようなものだ。ものすごく不毛。

「ならせめて着ぐるみ脱がせてよ!」

「それが大事なんですよう」

「なんですよう、じゃないよ! 猫なで声だすな!」

「うっ……」

着ぐるみのアヒルと、アフロの男が口論を繰り広げるさまは何というか、滑稽な絵面だ。

咲も、できる事なら着ぐるみを脱ぎたい。咲は猫だ。名前はタマ。

「でもそれ着てやってもらわない事には……」

「……この変態」

ネリーが、おそらく蔑んだ目でアフロを見やる。まるで、男ではなくアフロに罪があるかのような言い草だ。ネリーの視線はアフロを捉えて離さない。


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