過去ログ - 橘ありす「といいますか、ラインやってません」
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:50:46.06 ID:/7x1SshP0
「っていうか、橘ってまだラインやってねーの?」
突然、まるで予想をしていなかった話題を振られたことで私が蹴飛ばした石ころは右に大きく反れて、溝の中に落ちて行きました。
「相変わらず橘は下手くそだなー。ちゃんとレッスンやってるのか?」
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:51:26.34 ID:/7x1SshP0
「あ、貴方が急に変な話をするからでしょう!今どんなニュースが
世の中をにぎわせているか分かっているですか?」
私の頭の中に浮かんだのは、既婚男性とのLINEという韓国産のコミュニケーションアプリを通した仲睦まじいやりとりを流出させ、記者会見で頭を下げていた女性ハーフタレントではなく、眉尻の下がった文香さんの顔でした。
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:51:55.93 ID:/7x1SshP0
「あのさー、橘はずっと個人情報の流出がどうこう言ってるけど、あんなもん事故だよ事故。ハーフタレントの件はラインがどうこうの話じゃないって」
「そういう話じゃないんです。私がああいったSNSを使いたくないのは、そもそも必要性がないからです。メールや電話じゃどうしていけないんですか?」
私は晴さんから転がってきた新しい石を靴の内側でとめ、蹴り返しながらそう答えました。
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:52:31.85 ID:/7x1SshP0
「いや、だって便利だぜ?通話無料だし、皆でグループ作って一緒に話しできるし」
「3キャリアかけホーダイの時代に通話が無料なのはもう何のメリットでもないですし、別にメールでも皆で会話はできます」
そもそも、みんなスタンプを送りあっているだけで実のある会話なんてほとんどしていないことを私は知っています。
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:53:07.94 ID:/7x1SshP0
そう言って晴さんはポケットからスマートフォンを取り出して、プロデューサーと話し始めました。
手持無沙汰になった私は、自分のアイフォンで時間を確認するふりをして、着信の有無を調べます。
予想通り、私の着信履歴は前に見た時と変わらずに母親からの着信がトップに残ったままでした。
プロデューサーさんはいつも、手慣れているからという理由で電話ではなくラインの通話機能を使うのです。
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:53:53.66 ID:/7x1SshP0
そうやって、ラインを使っている他の皆とプロデューサーさんの距離は、ラインを使っていない私を一人取り残したままどんどん縮まっているように思えます。
前に、「どれだけ低くても情報流出のリスクがあるアプリを仕事に使うのは社会人としてどうかと思う」という話はしたのですが、残念ながら聞き入れて貰えませんでした。
「ここは、私が大きく一歩を踏み出すべき場所なんでしょうね」
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:54:23.32 ID:/7x1SshP0
きっと、私は誰よりも上手にラインを使いこなすことが出来ないでしょう。
メールには無い既読システムにイライラするでしょうし、返信を待たずになんども追伸を送ってしまうかもしれません。
既読の表示が分からなくなるように、真っ白な画面を背景にして周りに引かれてしまうかもしれません。
晴さんや梨沙さんに比べて、ちっとも震えない自分の携帯電話に自己嫌悪に陥る日はきっと一度や二度では済まないでしょう。
それでも私は、一歩を踏み出すべきなのでしょう。
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:54:52.34 ID:/7x1SshP0
「わりーわりー、ライン終わったぞ!」
「晴さん、私。ラインを始めようと思います」
「、、、、、、えっ?」
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:55:20.18 ID:/7x1SshP0
「おう、おはよう!橘ありす」
事務所のドアを開けると、いつもどおりの飄々とした笑い顔でプロデューサーさんが私のフルネームを呼び上げました。
「もういい加減にしてください......ありすって呼んでくれて構わないので、フルネームで呼ぶのは勘弁してください、、、」
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◆D8xDA/1ZL6
2016/01/17(日) 23:55:48.94 ID:/7x1SshP0
「あはは、そうだったな。ごめんな、ありす」
そう言ってプロデューサーさんは私の頭をとんとんと撫でました。
ほっぺが緩まないように気を付けながら、プロデューサーさんをきっと上目で睨みつけるまでの一連の流れが、私は決して嫌いではありません。
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