過去ログ - 魔王「お前、実は弱いだろ?」勇者「……」
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19: ◆OSUSHI.8HQhP[saga]
2016/01/19(火) 12:22:04.97 ID:NP6V+nJ/O

勇者「それでね、女神の加護って、ある日突然自分に授けられたって認識してしまうようなものなんだよ」

僧侶「認識ねえ……」

勇者「想起って言った方が適当かもしれない。理屈はともかく、ある時、わかるんだよ。

    だけど、力を授かったことがわかっても、それがどんな力かということを正確に知っているとは限らないんだ。

    例えば、じいちゃんは初め空間を自在に移動する能力を得たと思っていた。

    でも、実際にはそれは空間だけでなく、時間をも移動できる能力だったんだよ。

    父さんもそうさ。女神の加護について初めは守備力が少し上がったくらいにしか思ってなかった。

    だけど、旅の途中でそれが不死の能力であることを知った。

    そして、つい最近さ、僕も……僕も自分の力について知ってしまったんだよ」

僧侶「……勇者はどんな加護を受けたの?」

勇者「体力さ」

僧侶「……え?」

勇者「女神の加護を受けて、僕の体力は…………なくなってしまった」

僧侶「どういうこと? 全然、わかんないよ!」

勇者「スライムに一撃をくらっただけで、今の僕は死んでしまう」

僧侶「嘘…………そんな」

勇者「いや、さっきも言った通り、僕にはわかる。

    女神様はきっと僕が死ぬべきだとお考えなんだ。だからこんな力を……」

僧侶「そんなわけない! そうんなわけないわよ。

    さっき勇者も見たでしょう? この町の人たちの嬉しそうな顔を!

    この町を救うことができたんだもの。世界だってきっと――」

勇者「良いんだ。僕は勇者どころか、そこらの子供よりも弱い存在なんだ。

    ただ、せめて、死ぬまでにできるだけ世界の平和に貢献したいとも思う。きっとそれが僕に課せられた宿命なんだ」

僧侶「じゃあ、どうやって? どうやってスライムやゴブリンを追い払ったの?」

勇者「僕は本当に醜く弱い存在だ。死ぬのがたまらなく怖いんだ。

   だから……魔物たちが帰らざるを得ないように仕向けたんだ」

僧侶「え?」



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