過去ログ - 魔王「お前、実は弱いだろ?」勇者「……」
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◆OSUSHI.8HQhP
[saga]
2016/01/19(火) 14:22:19.57 ID:NP6V+nJ/O
# 回想、川上の祠
祠の中には町で獲れた農作物が僅かばかり保管されていた。
ゴブリン「人間が自ずからここへ来るとは、気でも狂ったか」
勇者「僕は勇者。この世界に平和をもたらす者だ。
川下の町を荒らしているのはお前か」
ゴブリン「それがどうした。まさか俺に敵うとでも思っているのか。片腹痛い。愚かな人間よ! 死ぬが――」
勇者「お前はなぜ町を襲う」
ゴブリン「なぬ……」
勇者「お前はなぜ町を襲うのかと聞いているんだ」
ゴブリン「人間ごときを襲うことにさしたる理由などないわ!」
勇者「だが、お前は町民は襲わずに畑だけ荒らした。おかしくないか? 本当はお前は――」
ゴブリン「ええい、黙れ! 人間の言うことなど聞かぬわ!」
勇者「このままだと、町民はみな餓死し、畑もなくなってしまうだろう」
ゴブリン「……」
勇者「川を越えて一日も歩けば森がある。そこなら、お前一人が食うに困ることもないだろう」
ゴブリン「……わかったよ」
ゴブリンは勇者を振り返らずに祠から出ていった。
ゴブリン「……礼を言うぜ。勇者さんよ」
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