過去ログ - 魔王「お前、実は弱いだろ?」勇者「……」
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◆OSUSHI.8HQhP
[saga]
2016/01/19(火) 23:17:17.47 ID:tjeoFTnyO
# 酒場
夜の町は、龍も泣き止んでしまうくらい賑やかだ。
マスター「二名様ですか。こちらへどうぞ」
二人をカウンターへ案内する。
勇者(ねえ、僧侶。メニューとかってないのかな?)
僧侶(緊張してるわね。背中に鉄板でも入ってるみたいよ)
僧侶(こういうところでは自然体でいるのが一番なのよ)
僧侶「マスター、あのウイスキーをお願いします」
マスター「飲み方はどうされますか?」
僧侶「トワイス・アップで」
勇者「あ、じゃあ、僕はなんか、さっぱりして飲みやすいやつをお願いします……」
マスター「では、ソルティ・ドッグなんていかがでしょう。このカクテルはグレープフルーツを――」
勇者「あ、それで! それでお願いします」
勇者(……)
勇者(なんで教会育ちの僧侶がそんなこなれた風なんだよ)
勇者(親の顔が見てみたいね…………あ、いや、ごめん)
僧侶(いいのよ。生まれてすぐにお母さんが死んで教会に引き取られたんだから。
私だって自分の親の顔が見てみたいよ)
僧侶「さあ、折角の機会なんだから楽しみましょ! ね?」
勇者「うん……そうだね!」
程なくして二人の前に酒が出された。
勇者「綺麗な丸い氷だなあ。ねえ、ふちに付いてるこの白いのって何?」
僧侶「勇者、『ソルティ』って言葉の意味がわからないの?」
勇者「う……ホントだ。しょっぱい」
僧侶「ふふふ。いつも私のことバカにしてるお返しですよーだ」
勇者「うう……今度来る時は絶対に僕がリードしてあげるからな!」
僧侶「ふふ。期待してるわね」
…………
…………
勇者(結局僕たちは情報収集をしなかった。
僧侶は飲み過ぎたみたいで、僕が最初の一杯を飲み終わる前にはカウンターに伏してしまっていた。
僕は彼女をおぶって帰ることになった。
火照った体に浜の風は気持ち良い。)
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