167: ◆i8c3ZXfr3A[saga]
2016/01/23(土) 21:29:18.14 ID:9TYV77W/0
B選択 ※修羅ルート突入
――自分のキャラぐらい把握しているつもりだ。
女に興味がないわけがない。人並みにそういったことに興味はあるし、いや、むしろ人より異性に興味があるかもしれない。
子供のころ、春本が道に転がっていたら、誰も見ていないことを確認して拾い上げ、脱兎のごとく家まで持ち帰った者だし、
丁稚奉公時代は公衆入浴場の清掃なんぞ頼まれたら、内心興奮と心拍の上昇を抑えきれず、鼻血を流して綺麗にした浴場を汚し、親方のゲンコツがとんだものだ。
いま、俺の半径10メートル以内で裸の、しかも極上の体と美貌を持つ女がシャワーを浴びている。
普段の俺だったら、どこからか覗けないか、部屋中を探すものだろう。
しかし、それはしちゃいけないことぐらい承知している。
なぜって? ――その女が暗殺者であり、気配を読むことに長けているからだ。
対して俺は、つい昨日、勇者に任命され、今日、槍を振るったばかりの存在、オタマジャクシの足が生え始めた存在にすぎない。
そんなちっぽけな奴が戦闘のプロに挑めばどうなるのか、子供ですら知っている。
だから、俺の最適解は、おとなしく部屋の隅でうずくまって心を無にし、明日に備えることだ。
それくらい、わかっている。
―――わかっていたんだ。
323Res/140.02 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。