238: ◆i8c3ZXfr3A[saga]
2016/01/24(日) 14:38:58.44 ID:DJRYJjCe0
その時だった。寝ころぶように湯につかっていたが、仰向けからうつぶせになるように、体を移動させる。
一瞬、ばれたのかと心拍が跳ね上がったが、ただ単に体位を変換させたようだ。
水気を吸った髪が湯船の中に広がる。
まるで、雨の雫が落ちるさまを絵画にしたかのように、劣情と欲情が駆り立てられるというよりも、美しいものに浸った陶酔感が湧きあがった。
その中でも、長く、絹のようにしとやかな黒の雫は白の肌に張り付き、淫靡なコントラストを観客に見せる。
だが、観客は俺だけだ。それが、この女を自分の物にしたかのような征服の達成感すらも胸の中にあった。
しかし、その中でも、健康的な、一見すれば、病的な白さにも見る者によっては思い浮かぶだろうが、しかし、健康美にあふれる背面の中で俺が見惚れてしまったのは、細うでを支える肩、その後ろにある肩甲骨だった。
軟らかな体には硬い物がある。
骨だ。
それはどうしようもなく、女の軟らかさのなかにあっても、無粋な硬質を思い描かせる。
――しかし、それを理解できるからこそ、硬堅の美も際立たせる。
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