過去ログ - 元提督「ホームレスになったった」
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1: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:21:31.49 ID:avm6wR/tO
地の分あり
亀更新
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2: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:23:24.12 ID:avm6wR/tO
「あちい……」
九月なのだから当然だが、口に出さずにはいられなかった。
高架橋の下だから大丈夫だと思っていたがそんなことは全然ない。アスファルトの地面は冷たいが出入り口に陣取ってるせいで陽射しは容赦なく挿す。数少ない財産の一つのベンチコートを羽織ったままにしているせいで余計に暑い。
3: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:26:13.66 ID:avm6wR/tO
ポケットに手を入れると五、六枚の小銭が指先にぶつかった。きっと千円くらいはある。あと二晩はもつか。
夜になるとようやく立ち上がりコンビニに行ってウォッカを一瓶買う。明け方くらいまでダラダラと時間をかけて瓶を空け、そこから先は悪夢を見ているのか、起きてるのかよくわからない地獄みたいな時間を過ごし、たぶん夕方頃にようやく意識がはっきりする。
悪夢を見ないように酒を入れるのに全く逆効果だ。でも飲まずにはいられない。
4: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:28:07.53 ID:avm6wR/tO
また意識が朦朧としてきた。視界がぼやけてきたところで、誰かが俺の前に立った。ほっそりした脚にジーンズ。
女だ。警官じゃなくてよかった。
顔をあげるとこちらを見下ろしていた目つきのきつい女と目があった。頭の左側で結った髪がなんとなく印象的だ。
5: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:29:43.75 ID:avm6wR/tO
平坦で高圧的な話し方が腹立たしい。一体何なんだ。
しばらく朧げな記憶を手繰っていくと、彼女の顔は見つかった。確か着任式のとき……
「思い出した。確か正規空母の……」
6: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:31:41.37 ID:avm6wR/tO
「何の用だよ。見ての通り俺はもう軍人じゃない」
「だから話に来たの。海軍の事情でなくて私の事情で海に出てほしいの」
腹立たしさははっきりした怒りに変わっていた。いきなりやってきて自分の事情に巻き込もうとするなんてどうかしている。
7: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:33:07.48 ID:avm6wR/tO
女が耳元で囁く。途端に俺は言葉を失った。ますます聞きたくない。
「今さら何だ。もう終わったことを……」
「赤城さんはまだ生きている」
8: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:35:22.16 ID:avm6wR/tO
「終わってない。私は赤城さんを助けたいの」
「勝手にやればいいだろ。俺は二度と海には出たくない」
「赤城さんに対して少しでも責任を感じてるなら来て損はないわ」
9: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:36:32.01 ID:avm6wR/tO
「名前を教えてくれ。どうしても出てこない」
女はやはり表情を変えない。
「加賀です」
10: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/19(火) 19:40:25.97 ID:avm6wR/tO
今日はこれで全部です
明日また再開します
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