過去ログ - 元提督「ホームレスになったった」
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112: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:10:06.33 ID:rIS2GvHZO
陽の明かりに目を細めずにはいられないような朝だった。

ボートのエンジンはすでにかかっている。係留もしていないからなにもしなくてもやがてこのまま流れ出すだろう。

舵の隣においた小さな瓶の中身を薄汚いグラスに指二本分の高さまで注いだ。
以下略



113: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:10:57.65 ID:rIS2GvHZO
グラスの中身を飲み干す。熱い液体が喉をさっと焼いていった。

「出すぞ」

加賀は頷いて俺のグラスを取り上げた。足元の瓶の中身をやはり指二本分注いで一気に飲む。
以下略



114: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:11:40.67 ID:rIS2GvHZO
静けさが気味悪い。波とエンジンの音は絶えず聞こえるから無音というわけではないが、昨日の件があるから騒ぎが起きないと違和感を覚えてしまう。

加賀は相変わらず弓を抱えて舵の隣のシートに座っている。

羅針盤の示す通りに進むこと大体一時間。羅針盤の映す地図にも深海棲艦を示す表示は出てこない。
以下略



115: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:12:31.10 ID:rIS2GvHZO
「この船ならあとどれくらいで会敵かしら?」

「そんなにはかからない。たぶん十分足らず」

「遅い。姿が見えるより先に海軍に囲まれるかも」
以下略



116: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:13:26.92 ID:rIS2GvHZO
拳銃を抜いて振り向く。
やっと来た。昨日と変わらぬ第二艦隊の面々。

「これ以上の勝手は許しません! 逮捕します!」

以下略



117: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:14:12.70 ID:rIS2GvHZO
落雷のような砲声にも加賀は表情を変えなかった。砲門を若干調整してもう一度放つ。

着弾を確認せずに方向を変えてボートを追い抜いて行った。互いに言葉を交わす余裕はなかった。最後に視線を交わしただけだ。

加賀の目は、たぶん決着を確信していた。
以下略



118: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:15:18.07 ID:rIS2GvHZO
艦隊の砲は全てボートへ向いていた。俺はと言えば口径9ミリの拳銃が一丁。
海上では豆鉄砲ほどの意味もない。いざという時に自分を撃てるから本当にないよりはマシかもしれないが……

両手で細く頼りない銃把を保持し、艦隊の足元に銃口を向けて一発放った。

以下略



119: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:16:56.25 ID:rIS2GvHZO
残された四人は昨日と同じようにボートを半円に囲む。
唯一、最上だけは艤装をこっちに向けていない。

「銃を捨てて!」

以下略



120: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:17:51.32 ID:rIS2GvHZO
「第一艦隊は西方海域に投入されています。解放海域の平穏は榛名たちに任されているんです」

榛名は言葉とは逆にひどく弱気な顔をしている。実戦経験が少ないせいだ。

文字どおり仲間の命がかかる実戦で憔悴するのは人間も艦娘も同じ。そこで冷静なままでいられるかどうかは経験次第だ。
以下略



121: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:18:39.58 ID:rIS2GvHZO

「昨日の榛名たちと、明け方に戻ってきた第三艦隊の報告で海軍はすっかり気概を削がれたみたいです。大本営の偉い人たちも今ごろは震えて報告を待っているかもしれません。必ず倒せと命じられました」

「だったら俺のことなんかいいから行け」

以下略



122: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/02/10(水) 21:20:33.49 ID:rIS2GvHZO
「どうした?」

「霧島と瑞鶴が……」

「二人がどうしたって?」
以下略



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