過去ログ - 元提督「ホームレスになったった」
1- 20
55: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:32:55.37 ID:Gn7ddVMbO
潮気を含んだ海風が容赦なく顔面にぶつかる。
昔東京港と呼ばれていた所から出発した全長5メートル足らずのプレジャーボートは進路を南西に取っていた。

時刻〇九三〇ちょうど。日差しが眩しかった。
俺が舵を握っている隣に加賀は座り、弓を抱えて目を閉じている。
以下略



56: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:34:26.23 ID:Gn7ddVMbO
「そろそろ回すぞ」

俺の声で加賀は立ち上がり、銀色のハードケースを渡してきた。
開けると直径15センチほどの円盤が出てくる。

以下略



57: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:35:26.18 ID:Gn7ddVMbO
よし。羅針盤はまだ俺を適性保持者と認めてくれるらしい。

「羅針盤ってこうなってるんですね。初めて見ました」

加賀は投影された海図をまじまじと見ながら呟いた。
以下略



58: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:36:46.99 ID:Gn7ddVMbO
「しばらくは加賀が俺の秘書艦だぞ」

「そうですか。お好きに。早く回して」

「はいはい。よーし、羅針盤回すよー」
以下略



59: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:37:47.26 ID:Gn7ddVMbO
すぐ後ろから警告。羅針盤から手を離し、双眼鏡を取った。振り向き、双眼鏡を覗く。心臓が一瞬だけ膨れ上がった。

「おい……哨戒は水雷戦隊がやってるんじゃなかったのか」

「水雷戦隊も投入されてる、という意味よ」
以下略



60: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:39:06.02 ID:Gn7ddVMbO
あらゆるシチュエーションに対応できる六隻の艦隊に対してこっちは一隻の正規空母。話にならないのは確かなことだ。

「加賀、艦載機で彼女らを足止めできるか? 航空優勢に運ぶんだ。敵艦隊が艦載機に対応してる隙を見て進路を反転、艦隊を大きく迂回して東京港に戻る」

どこかでパトロールに出くわすだろうとは思っていたが、こんなに早いとは思わなかった。
以下略



61: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:40:10.89 ID:Gn7ddVMbO
「焦ることはない。落ち着いて計画し直そう。まずは彼女らを止められるか?」

「心配いらないわ」

言いながら加賀は弓の先で海面をそっと叩いた。
以下略



62: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:41:03.35 ID:Gn7ddVMbO
「20cm連装砲。本物のように装備する計画があったのだけど、機動力が削がれるという理由で試作品だけ作って工廠にしまわれてたの」

「使えるのか?」

「大丈夫。これを撃ったらすぐにボート出してください。さあ止めて」
以下略



63: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:42:02.91 ID:Gn7ddVMbO
「両手を見えるようにして!」

「わかった! 悪かったよ五十鈴。わかったからそんなの降ろしてくれ」

ちょうど右手側に陣取っていた軽巡の五十鈴は自分の名前を呼ばれてやっと俺のことを見たことある程度に思い出したらしく、あぁっという顔をした。
以下略



64: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:45:10.34 ID:Gn7ddVMbO
「お久しぶりですね。今日はどういった用事ですか?」

第二艦隊旗艦の榛名はすぐに俺のことがわかったらしく、キツくは声をかけなかったが、主砲はこちらを向いていた。

「特別に用事がなきゃ船を出しちゃダメかい? ここは自由航行海域だ」
以下略



65: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/01/27(水) 00:46:42.05 ID:Gn7ddVMbO
「メンバーの入れ替えがあったのか。前は翔鶴がいたと思うんだけど」

最後に見たとき正規空母は翔鶴だった。今は長い髪を頭の両側で結った気の強そうな子だ。
当の彼女は俺の方など眼中にないといったように加賀を睨んでいる。

以下略



214Res/84.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice