過去ログ - 渋谷凛「Pが付き合ってくれない」
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7: ◆a/CmvfV8ng[saga]
2016/01/20(水) 01:40:43.12 ID:JnabhDt30

***


夜道をてくてくと二人して歩く。会話は時折、他愛もないものを一言二言交わす程度。

魔法の溶ける時間はとっくに過ぎた。

「最後の我儘の日が終わっちゃったね」

「そうだな」

空気を肺いっぱいにため込む。

「ねぇプロデューサー。私、アイドル辞めようと思うんだ」

まだ誰にも告げていない気持ちを空気と一緒に吐きだした。

「そうか」

担当アイドルの引退宣言を聞いたはずのプロデューサーの返事はそっけなかった。

「驚かないんだ」

「驚いてるよ」

「嘘。いつから気付いてた?」

「最初からだよ」

「最初って?」

「凛とトップを目指してから」

「なんで分かってたの?」

「だって凛はずっとゴールを意識してきたじゃないか。走り続けたいって」

「本当にそれだけ?」

「ああ、それだけ」

「そっか」

「ああ」

沈黙の後にまたてくてくと歩き出す。

十数分歩いてまたどちらか口を開く。この繰り返し。


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