過去ログ - 春香「プロデューサーさんっ! お昼ですよ、お昼!!」
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1:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:18:02.88 ID:ZGDS60AB0
「プロデューサーさんっ! お昼ですよ、お昼!!」

 不意に声をかけれ、私は事務作業の手を休めると壁にかけられた時計へと目を向けた。
時計の針が、既に一般的な昼休みの時間が半分近く過ぎていることを指していることを確認する。
 周りをみると、目の前の少女以外、事務所には誰もいないようだった。

「なんと、もう昼であったか」

 私のつぶやきに、目の前に立つ少女――天海春香が心配そうに答える。
 
「私達のためにお仕事を頑張ってくださるのは嬉しいですけど……休憩はきちんととってくださいね?」

「すまない。集中すると、どうも周りが見えなくなっていけない」

「それだけ私達のプロデュースを、真剣に考えてくれてるって事だと思いますから」

 ばつが悪そうに笑いながら、彼女が続ける。

「嬉しいなって思うんですけど、その分、プロデューサーさんも無理してるんじゃないかって心配になっちゃって」


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2:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:21:48.21 ID:ZGDS60AB0
「そんな事はない。春香達が頑張ってくれているのだから、それに応えるのがプロデューサーというものだ」

 私がそう返すと、しぶしぶといった様子で納得する春香。だが、すぐに何かを思い出したような表情になり。
 
「えっと、心配もそうなんですけど。お昼ご飯、まだですよね?」
以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:24:59.00 ID:ZGDS60AB0
 そう言ってから私は、愛用の事務机の引き出しから二枚のチケットを取り出した。
 
「この前、四条君から旨いと評判のらぁめん屋の割引券を貰ったのだ。忙しさにかまけて今まで忘れていたが……」

「あ……あー、ラーメン……ですか」
以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:26:44.75 ID:ZGDS60AB0
 先ほどからどうにも様子がおかしい。何ともいえぬ困り顔で、私の持つ割引券を凝視する春香。
その様子を見る私の脳裏に、突如として一つの仮説が浮かび上がる。そうか……そういうことか!

「――もしや、春香も昼食がまだなのかな?」

以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:28:21.21 ID:ZGDS60AB0
 
「うぅ……今思い出したんですけど、私、午後からお仕事なんです。多分、ついていったら間に合わなくなっちゃいます……」

「そうか……ならば、今日は四条君を誘うことにしよう。春香とは、また今度だな」

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:30:31.60 ID:ZGDS60AB0
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「プロデューサーさんっ! お昼ですよ、お昼!!」

以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:31:41.94 ID:ZGDS60AB0

 怪訝そうに呟いてから、はっとした表情で春香が続ける。

「だ、ダメですよ! 忙しくて面倒だからって、コンビニのおにぎりや栄養食品なんかで食事を済ましちゃ!」
「午後からのお仕事のためにも、ちゃんとした物を食べて元気つけて下さい!」
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:33:19.63 ID:ZGDS60AB0

 私の説明に、しぶしぶといった様子で納得する春香。だが、突然何かを思いついたような表情になり。
 
「あの! 私もおにぎりの専門店に興味があるので、一緒に行っていいですか!?」

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:34:56.57 ID:ZGDS60AB0

 喜ぶ春香であったが、午後からの収録が前倒しされた事を告げる電話が秋月女史から掛かった為、彼女が迎えに来るまで
一人事務所に残る事になってしまった。

「それではすまないが、留守番を頼むよ」
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:37:24.12 ID:ZGDS60AB0
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「プロデューサーさんっ! お昼ですよ、お昼!!」

以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:38:32.97 ID:ZGDS60AB0

 バンッ!! と音を立てて、テーブルが鳴る。少女――春香が右手をテーブルに叩きつけたからだ。
衝撃により、私の前に積まれた栄養食品の山が僅かに崩れたが、彼女は意に介さずといった調子で続ける。

「しかしも案山子もありませんっ! 私達には口酸っぱく注意するのに、自分の食事には無頓着だなんて……」
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:39:33.98 ID:ZGDS60AB0

 春香の言葉に、私は困惑した表情を返した。向かいに座る千早も、申し訳なさそうな顔をして、持っていた弁当箱を
テーブルの上に置く。
 そんな私達を見て、春香はやれやれと言った表情で腕に下げていた鞄に手を入れた。

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:41:10.10 ID:ZGDS60AB0



「私がっ!! ろくに料理もできないから……プロデューサーが気を使って……!!」

以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:42:32.12 ID:ZGDS60AB0

 そのまま、泣き出す千早。余りに突然の出来事に、狼狽する春香が、私を見る。
 
「その、なんだ……たまたま昼食を一緒に食べることになったのだが」
「バランスは取れているからと、千早がコレで食事を済まそうとするものだから――」
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:44:08.83 ID:ZGDS60AB0

「じゃ、じゃあプロデューサーさんは千早ちゃんの栄養面を思っての行動で……って、だったら私結構キツイ事を……」

「春香は……ぐすっ、悪くないわ……私が、しっかりとしていないから……」

以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:45:15.41 ID:ZGDS60AB0
 
「年頃の少女の口に合うかどうかは分からないが、いかにも私の手作り弁当だ」

「プロデューサーさんの手作りっ!?」

以下略



17:名無しNIPPER[sage]
2016/01/25(月) 12:45:39.15 ID:JOZXjwKDO
プロデュンヌ?


18:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:46:09.87 ID:ZGDS60AB0

 なおもどう反応すればいいのか困っている様子の春香から、私は視線を千早へと移す。
落ち着いたのか、まだ少々目が赤いものの、千早は泣き止んでいた。

「さて、千早!!」
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:47:04.67 ID:ZGDS60AB0

 これで良い。顔を真っ赤にして、相当うろたえている。やはり、私の見ていない所では食事を簡単に済ますつもりでいたようだ。
だが、これからは私の監視が付くことになるので、これまでのような不精はできまい。

「では、早速だが料理本を買いに行くとしよう。千早、ついて来なさい」
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:47:58.31 ID:ZGDS60AB0

「良い機会なのでな。簡単な料理ぐらい自分でも作れるように練習させる。しばらくの間、昼食は事務所で作る事にしよう」
「少しぐらいなら私も手解きできるし、幸いうちには料理の得意な子もいるからな。講師役に困る事も無かろう」

 まだ納得のいっていない顔の千早だったが、私が毒見役も行うと言うと、途端にやる気になった。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/01/25(月) 12:48:51.70 ID:ZGDS60AB0

 そうして、私は千早を連れて事務所を後にした。早とちりとはいえ、親友を泣かしてしまったショックからだろうか?
春香は手提げ鞄に片腕を突っ込んだままだったが……今は、そっとしておく方が良いと私は判断した。
 そうだ、料理本と一緒に、お菓子作りの本も買って帰ろう。事務所で千早と共にお菓子作りをさせれば、わだかまりも
溶けると言うものだ。
以下略



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