2:名無しNIPPER
2016/01/25(月) 23:25:05.45 ID:B1vz8BkL0
「自殺の手段の一つとして、線路に飛び込み。ってのがあるじゃん?」
彼のその話を聞いたのはいつだったか、何月何日かは忘れたけれど、それが昼休みのことだったということは覚えている。
昼ご飯を前に、食欲が著しく失われたことを覚えている。
「………それで?」
僕はトマトを、弁当箱の隅に追いやりながら彼に続きを促した。
3:名無しNIPPER
2016/01/25(月) 23:26:20.03 ID:B1vz8BkL0
「だってさぁ、まず痛いだろ?他に楽な死に方はいっぱいあるだろう。それに他人に、それも大勢に迷惑がかかる。誰も幸せにならない」
僕はいよいよ箸を置いた。
「……自殺なんかする奴は誰の幸せも考えないだろう。もちろん、自分の幸せも」
「そうだよな。そこだよ。俺が言いたいのはそこだ。幸せを考えない。もしくは、考えられない。そういう奴はもう生きてないんだ。死んでるんだ。『人間は考える葦』とはよく言ったぜ。考えない奴はもう人間じゃない」
正直彼の話に、僕が同意することは少ない。大体間違っているからだ。
4:名無しNIPPER
2016/01/25(月) 23:27:19.10 ID:B1vz8BkL0
「あと能天気とかマイナスイメージの言葉を俺に使うな。不死身だ。最強だ」
彼の持論は大抵、自己肯定で終わる。
彼はそんな自分のことをまわりくどいナルシストと呼んだ。
自覚のあるナルシスト。
それは矛盾しているようでもあるが、そもそも、彼の持論は、持論同士で矛盾していることが多い。
5:名無しNIPPER
2016/01/25(月) 23:28:27.83 ID:B1vz8BkL0
ホームはそれなりに人で埋まっていたが、その珍妙な絵画を見ている人間は、その時、僕だけだった。
確か、この絵画についても、彼と話した記憶がある。
今日、課題の期限がどうたらということで彼は学校に居残っているが、いつもは一緒に帰る仲良しなのだ。
毎日この絵画が飾られたホームで詭弁を聞いたりしている。
彼はこの絵画を気に入っていた。
6:名無しNIPPER
2016/01/25(月) 23:29:16.83 ID:B1vz8BkL0
「…………さぁ?絵の具を溢したんじゃないか?」
僕は素直に答えた。
そのあと、彼はなにやら語り始めていたが、僕はそれを聞き流してしまった。
確か、ロールなんとかがどうこう言っていたはずだ。
あれは一体なんだったのだろう。と、今更気になっている僕だった。
7:名無しNIPPER
2016/01/25(月) 23:30:14.45 ID:B1vz8BkL0
そこで、ひとつの可能性が出てきた。
もしや、彼の言っていた『ロール』は、6が渦巻きに見えたということだろうか。
一度話を始めると、やれ人類だのやれ精神だのと、大袈裟に話のスケールを広げる彼だが、こういうくだらないことも、彼はよく話していた。
聞き流しておいて良かった。
そこで、電車の向かって来る音が聞こえた。
8:名無しNIPPER
2016/01/25(月) 23:31:10.47 ID:B1vz8BkL0
夢でも、見ていたのだろうか。
なんてわざとらしいことは言わない。
僕も彼も、そういう、起きた異常を認めようとしない、わざとらしい展開が嫌いだった。
確かに、ありえない。信じがたい。けど。
だって明らかに、
9:名無しNIPPER
2016/01/25(月) 23:32:09.74 ID:B1vz8BkL0
『何か』あった。
僕の時間を巻き戻す何かがあったはずだ。
それを探さなければ。
漫画や、小説じゃ、それがお決まりだ。
我ながら、楽観的というか。それこそ能天気な考え方だったけれど、とりあえず動かないよりはマシなはずだ。
10:名無しNIPPER
2016/01/25(月) 23:33:32.63 ID:B1vz8BkL0
今日は、ていうか今週はここまでです。
11:名無しNIPPER[saga sage]
2016/01/25(月) 23:36:33.88 ID:xypj9So+0
乙
何が起こるか気になる
12:名無しNIPPER[sage]
2016/01/25(月) 23:44:33.02 ID:rVR04BT2o
乙
巻き戻ったから数字が減ったんだろうけれど戻った理由が分からんな
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