17: ◆TDuorh6/aM[saga]
2016/01/30(土) 22:57:42.83 ID:Nt6KdPie0
仕事も終わり陽は落ちて、本日二度目の事務所の扉を開けようとする。
ガチャガチャ…
…?
何故か鍵が掛かってしまっている。
残念ながら、これでは事務所内に入る事が出来ない。
まぁつまり事務所には誰も居ないと言う事で、ならば私が事務所に寄る理由も無くなってしまったのだけれど。
折角、この寒い中疲れた身体を引きずって戻って来たのに。
はぁ…まったく…
「鍵が閉まっているなんて、今日はロックな事がありませんね…」
「そうとはかぎりませんよ。きーっと良い事がありますって」
「えっ!?」
驚いて振り返れば、そこにはスーツ姿のプロデューサーがいた。
走って戻って来たのか若干息があがっている。
スーツも崩れてしまって、それでも。
疲れを感じさせない程、笑顔だった。
さっきまでの疲れは、既に思考の隅まで飛んでいった。
寒くて震える程だった筈なのに、何故か少しあったかく感じる。
プロデューサーがいれば暖房代が浮きそう…連れて帰ろうかしら?
…なんて、ね。
「ふふっ…プロデューサー、お疲れ様です」
「すみませんね、ついさっきちひろさんが退勤してしまったので急いだんですけど…」
そう言って鍵を回し扉を開け、事務所内へ。
事務所の内側からながれてくる温もりは、つい先程までちひろさんが事務をしていたことを証明していた。
先に中へ入っていったプロデューサーがパパッと電気と暖房を点ける。
素早く動き回って一通り終えたのかスーツをハンガーに掛けるプロデューサーを視界内に収めつつ、私は手に息を吹き掛けた。
52Res/37.56 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。