過去ログ - 【艦これ】鳳翔さんは料理ができない
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1:名無しNIPPER
2016/01/29(金) 00:59:50.29 ID:WrgJI4j4o
「小腹がすいたな」
そう呟いたのは真夜中であった。
しんと静まり返ったこの部屋に、相槌を打つ秘書艦などいるはずもない。
騒がしい鎮守府も、夜中となればみな寝静まってしまう。
うるさく騒ぐ者どもは、まとめて遠征へ出してしまった。
「さて、どうしたものか」
こんな時間では外の店も閉まっているだろう。
窓から外を見ると、辺り一面が月の明かりに照らされている。
その中に、赤く光る提灯はどこにも見当たらなかった。
「仕方がないか」
食料の備蓄には余裕があった。
海苔でも咥えていれば腹の虫も収まるだろう。
重い腰を上げ、私は厨房へと向かった。
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2:名無しNIPPER[sage]
2016/01/29(金) 01:02:31.42 ID:MwAlv1fDO
料理ができないとかあり得…いや、なんでもない…
3:名無しNIPPER[sage]
2016/01/29(金) 01:09:21.49 ID:WrgJI4j4o
こつこつと靴が音を響かせる。
真夜中の廊下というのはこれほどまでに静かだったのだろうか。
眠気に欠伸を誘われながら、ひとつふたつと角を曲がる。
すると、月以外の明かりが部屋から漏れているのが見えた。
4:名無しNIPPER[sage]
2016/01/29(金) 01:14:02.15 ID:WrgJI4j4o
「あら、提督……」
内から聞こえてきたのは、あの鳳翔の声であった。
彼女の作る料理は絶品と聞く。
なにやら運が回ってきたのだろうか。
5:名無しNIPPER[sage]
2016/01/29(金) 01:24:04.38 ID:WrgJI4j4o
「どれ、ひとつくらい抓ませてはもらえんか」
「構いませんよ。少し作りすぎてしまったので」
鳳翔はそそくさと食器棚へと歩み、小さな皿を取り出した。
6:名無しNIPPER[sage]
2016/01/29(金) 01:28:57.95 ID:WrgJI4j4o
「ふむ……」
ゆで卵であった。
それは紛れもなく、茹でられた卵の姿である。
7:名無しNIPPER[sage]
2016/01/29(金) 01:33:19.08 ID:WrgJI4j4o
何故そのような眼をしているのだ。
問いかけようにも彼女の気迫はただならぬものである。
もしかすると、料理人の誇りというものであろうか。
簡単な調理をしたものでも、不味いものは作れぬという意志の表れか。
8:名無しNIPPER[sage]
2016/01/29(金) 01:41:58.56 ID:WrgJI4j4o
どろりと流れ出す皿の液体を見て、鳳翔は頭を抱えていた。
状況を飲み込めない私は、皿を持ったまま鍋の様子を見てみる。
鍋は火にかけられていた。
しかしそのゆらめく弱火は、鍋に対して些か不相応であった。
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