過去ログ - 【艦これ】鳳翔さんは料理ができない
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135:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 09:27:17.53 ID:oz5uzikOo
こつこつと靴が音を響かせる。
真夜中の廊下は、いつものようにしんみりと静まっている。
眠気に欠伸を誘われていても、いつもの場所への道のりは体が覚えていた。
月以外の明かりが部屋から漏れているのが見える。
136:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 09:32:38.11 ID:oz5uzikOo
「提督。お待ちしておりました」
「今日は何を作ったのだ」
「良い筍を仕入れたので、筑前煮を」
137:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 09:34:49.68 ID:oz5uzikOo
「今日は昼に何かあったのか」
昼時、この厨房が騒がしかったのを覚えている。
私がそれを問うと、鳳翔はにこやかに告げる。
138:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 09:39:31.12 ID:oz5uzikOo
人に教わっていた彼女が、人を教えるようになるとは。
感慨深いものだなと呟くと、鳳翔は懐かしむようにこう返した。
「あの時は至らない姿を何度も見せてしまい……」
139:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 09:46:25.24 ID:oz5uzikOo
「お前のどこに気品があるというのだ」
「ふふ」
何が可笑しいのやら、彼女は笑みを浮かべる。
140:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 09:51:20.43 ID:oz5uzikOo
「提督に褒めてもらうと、やはり嬉しいです」
「そうか。これからは客に褒めてもらえるよう、精進することだ」
私が告げた言葉に、鳳翔は眉を下げる。
141:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 09:57:51.76 ID:oz5uzikOo
「それで、その料理教室とやらは今後も続けるのか」
「いえ、そのつもりはありません」
思わぬ返答に耳を疑った。
142:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 10:03:36.20 ID:oz5uzikOo
「では今度の休日にどこかへ出かけるとしよう」
「どこへ行きましょうか」
このやり取りももう何度目であったか。
143:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 10:08:48.86 ID:oz5uzikOo
「ああ、それと……これもありますよ」
鳳翔の手には、何時だったか、ともに呑んだ日本酒の瓶が握られていた。
相変わらずそれが好きなのだな、と呆れる。
すると、思い出の品であるからだと言うのだ。
144:名無しNIPPER
2016/02/13(土) 10:15:40.72 ID:oz5uzikOo
「もう寝るとするか」
「そうですね」
そう言った彼女は、皿と箸を洗い始める。
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