過去ログ - ちなつ「切れた電球を今」
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42:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:19:24.10 ID:NYPOpsNEo
 * 

 物語はクライマックスを迎える。

西垣「はっはっは。王子よ。まだまだ未熟だな。その程度の剣技で私に勝とうなど。色恋にほだされて、冷静さを欠いたな」

結衣「かなわないのは重々承知。だが人は、勝てる望みがあるから戦うわけではない。
   負けるとわかっていて尚戦う。それこそが何かを背負うと誓ったものの生き方だ」

西垣「はっはっは。それはつまり愛するもののために犬のように死ぬのを良しとするということか?
   そんなものはただの自己満足だ。いいか、王子よ。望みを叶えたいのなら、なんとしてでも勝て。
   どんな手段を使ってもいい。お前がいくら愛するものの幸せを望んでその命を散らそうとも、
   愛するものもまたお前の幸せを望んでいる以上、敗北の果てに幸福などないのだ」

結衣「そんなこと、言われるまでもなくわかっている。だから私は、誇り高きこの国の王子としてではなく、
   彼女を愛する一人の男として戦わせてもらう」

西垣「はっはっはそれで貴様に何ができる。この私の剣技に手も足もがはっ……」

結衣「隙有りっ!」

西垣「がはっ! き、貴様、戦いの前に私にデザートとして差し出した林檎に、毒をっ。くっ腹痛がっ……」

結衣「今までありがとうございました、父上。私は貴方にたくさんのことを教えられた。
   私はずっと貴方のことを尊敬しておりました。望まぬ結婚を強いられたのは貴方も同じこと。
   しかしそれでも、貴方は母上のことをこれ以上ない程に強く愛していた。愛と国とを天秤に釣り合わせる、
   貴方のような王に私はずっとなりたかった。しかし駄目でした。私は、シンデレラに出会ってしまった」

西垣「はっはっは。それは違うぞ、王子よ。あれは望まぬ結婚などではなかった。
   私たちの結婚は、国中をあげて祝福しても足りないほどの幸福に満ちた、燃えるような恋愛結婚だった。
   もしも私がお前と同じ立場だったのなら、私も同じことをしたのだろうよ。まったく、激情家は私譲りか。
   似なくていい部分ばかり似てしまったものだな」

結衣「なっ……父上!」
   
西垣「はっはっは。そんな顔をするな王子よ。お前はこの私を倒したのだ。誇りを持て。
   お前は先ほど私のような王にはなれんと言ったな。当然だ。お前は私を超えていくのだからな。
   もう誰にも彼女を、シンデレラなどと呼ばせるなよ……」

結衣「父上……。ちちうえー!」

 結衣先輩が最後の台詞を叫んだ直後、西垣先生の衣装のポケットに入っていた、
 毒りんご型時限式爆弾が発光し、ステージが爆炎に包まれた。

ちなつ「だから爆発はいらないって言ったじゃないですかー!」


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