過去ログ - ちなつ「切れた電球を今」
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55:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:27:07.20 ID:NYPOpsNEo
あかり「え?」

ちなつ「あかりちゃんから、キスをして。今回は結衣先輩からして貰うんだから、練習もあかりちゃんからじゃなきゃ意味がない
    じゃない。まぁ、出来ないなら、私からするんだけど」

 そう言って鼻と鼻がぶつかるくらいの距離で顔を止めて、目を閉じた。

あかり「だ、駄目だよぉ……。ちなつちゃん」

 目を閉じていても、あかりちゃんの動揺が伝わってくる。
 普段は憎らしいくらいに笑顔の癖に、こういう時の反応は本当に可愛い。

あかり「友達同士でこんなの、おかしいよぉ……」

ちなつ「大丈夫だよ。あかりちゃん。こんなの、ただの練習だもん」

 そう、こんなものはただの練習なのだ。
 私があかりちゃんのことを愛しているとか、
 あかりちゃんが私のことを愛しているとか。
 
 そういう感情から切り離されたところで、きっと私たちはキスをすることができるのだ。

 あの日のキスで、私は何を手に入れたのだろう。
 わからないけれど、失ったものはあったのかもしれない。
 
 再び静寂が流れる。

 私はただあかりちゃんの唇を待つ。
 もしかしたら、しびれを切らして私の方から唇を奪ってしまうかもしれない。
 それでも、しびれが切れるその時まで、私はあかりちゃんの唇を待ち続ける。

 
 やがて、
 ほんのりと甘い香りとともに、
 柔らかな感触が、
 私の唇に。


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