過去ログ - あぎり「やすなさんの異常な愛情」
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691:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:10:36.83 ID:qN8sgtAQ0
「くそ、他に何かないか……」
「ソーニャ、システムの本体はどこにあるか分かりますか?こうなったら、私が直接破壊しに……」
「……無理だ、サーバーはアーケロンの下……海中に設置されてるんだ、人間が行ける場所じゃない」
692:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:14:57.16 ID:qN8sgtAQ0
「どうしました?」
「うまく行けばの話だが……」
そう言いながら、ソーニャは施設の全体図を私に示した。
693:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:17:04.68 ID:qN8sgtAQ0
「よし、次だ。ポンプを手動操作に切り替える」
「切り替えですね……出来ました」
「よし、これで最後だ。パスワードを入力してくれ。そうすればポンプが動き出す」
694:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:18:27.29 ID:qN8sgtAQ0
「あぎり?どうした?」
「……ソーニャ」
「なんだ、時間がない」
695:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:19:29.67 ID:qN8sgtAQ0
「……手短に、な」
「どうして十五年前……私にこの事を話してくれなかったんですか?」
仲間として。
696:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:21:44.63 ID:qN8sgtAQ0
「……巻き込みたくなかった。お前や……下手をすればやすなだって。組織から狙われてしまうかもしれない……」
「私は……それでもよかった。あなたと、ソーニャと一緒なら。それだけでよかった……」
十五年のあの日。
697:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:22:22.02 ID:qN8sgtAQ0
「あなたと出会えて……本当によかった」
「……ありがとう、あぎり」
「……さぁ、パスワードを教えてください」
698:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:24:11.86 ID:qN8sgtAQ0
「……Baby Please Kill Me」
「……それが?」
「そうだ。あぎり、私を……」
699:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:26:21.30 ID:qN8sgtAQ0
「ポンプが動き出した……じき、アーケロン本体もバランスを崩すだろう。その前に脱出するんだ」
「えぇ、わかってます」
私がそう答えると彼女は、少しだけ微笑んだ。
700:74TK ◆7Yh0Xuci4Y[saga]
2016/05/29(日) 00:27:58.09 ID:qN8sgtAQ0
彼女はただ何も言わずに、目を瞑っていた。
薄れていく彼女の姿を、私はじっと見つめる。
不思議と、涙は流れなかった。
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