過去ログ - 周子「アイドルでオトメなあたし」
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21: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:19:50.96 ID:QpfMQaPz0
ちひろさんかな、それともトレーナーさんかしら?
できるオトコ、と密かに業界各所で評判高いというその横顔をぼんやりと眺めていたあたしのそばに、役目を終えた黒色のスマートフォンがぽいと投げて寄越された。
カーステレオに車のエンジンが相槌を打ち、きらきら輝くネオンがゆっくりと後ろに流れはじめる。
22: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:20:38.55 ID:QpfMQaPz0
「いじっていーい?」
「駄目だ」
23: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:21:31.71 ID:QpfMQaPz0
駄目だと言われたときにはもうスマートフォンに手をかけているあたしを、プロデューサーさんはそれ以上特に注意するでもない。
慣れられているのか、それともひょっとして、諦められているのか。
24: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:22:13.12 ID:QpfMQaPz0
「おつかいでも頼まれたの」
「帰社前に、ちょっとスタジオにな」
25: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:22:48.22 ID:QpfMQaPz0
半時間? と首を傾げたプロデューサーさんに、あたしは思わず失笑する。
そろそろ関西のイントネーションも抜けきったかなと自負していたけれど、どうやらまだまだ、シューコは雅な京娘のままのようだ。
三十分ね、と言い直してから、あたしはスマートフォンの画面に視線を戻す。
26: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:24:24.89 ID:QpfMQaPz0
『パスコードを入力』
ううむ、流石は敏腕プロデューサー。
27: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:25:02.57 ID:QpfMQaPz0
えー、と口を尖らせたあたしの方を、プロデューサーは見もしない。
あたしの小さな意地に、ぽつりと火がともされる。
こうなると、俄然やる気が出てくるのが人の性ってもの。やってやろうじゃありませんか。
28: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:25:28.30 ID:QpfMQaPz0
「プロデューサーさん、誕生日って七月のいつだっけ」
「なんだ、何かくれるのか」
29: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:25:58.82 ID:QpfMQaPz0
プレゼントは、あたし、なーんて。
以前のあたしなら、いたずらっぽく笑いながら言えたんだろうな。
ミステリアスだの、小悪魔だのといった代名詞がついていたころのあたしなら。
30: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:26:49.42 ID:QpfMQaPz0
小さくついたため息にはおそらく気付いていないだろう、プロデューサーさんはきちんと答えてくれた。
なるほど、十九日。
そういえばみんなのプレゼント選びについていったのは、そんなころだったような気がする。今年は忘れないようにしないと。
31: ◆oGGROSsMWw
2016/02/02(火) 00:27:57.48 ID:QpfMQaPz0
残念、外れ。
なんの、まだまだ。
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