過去ログ - シェアハウス (オリジナル百合)
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18: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/05(金) 15:37:52.96 ID:CnMOex1r0
急にいなくなったなんて、にわかには信じがたい。
でも、家の中に入って確かめるなんてこともできない。
こういう時、電気とか水道のメーターとかを調べたりするんだろうけど。
でも、この家には本当に誰もいないのが分かってしまった。
「大家さんが一回入ったけど、家の中空っぽやったって。数か月前に、粗大ごみの収集しよったのは見たけど……案外、売りに出しよったんかもなあ」
大家はすぐに鍵を別のに変えてしまって、それ以降は大家以外は入れなくなっているみたいだった。
私はおばちゃんから受けたレクチャーに涙が溢れてしまった。
おばちゃんも驚いて、バツの悪そうな顔でポケットから煎餅を取り出して私に手渡した。
何歳に見られたんだろうか。
でも、そんなこともどうでもいい。
おばちゃんに礼を述べながら、私は祭ちゃん家を後にした。
ショック過ぎて、ただただ涙だけがぽつぽつと頬に滴り落ちていた。
親友はどこに行ったのか。
バイクを押しながら、めそめそと考える。
思い当たる場所なんてない。
彼女の親戚がどこにいるかも知らない。
ポケットからハンカチを取り出す。
私があまりにも水っぽいから、祭ちゃんがくれた。
『私がいない時は、それで拭いたら?』
それは、誕生日プレゼントだった。
ブーゲンビリアという花の柄が散りばめられた薄手のハンカチーフ。
こんな風に使うつもりはなかったのに。
祭ちゃん。
祭ちゃん。
ハンカチをグシャグシャにし、声を出して泣いた。
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