過去ログ - シェアハウス (オリジナル百合)
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22: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/05(金) 18:13:52.72 ID:CnMOex1r0
『みれないなら、軽々しく大切だなんて……言うなッ』
語尾を荒げて、憎々し気に彼女は私を突き飛ばした。
理不尽なことを言って、私を突っぱねる。
背中を打ち付けて、私は痛みに歯を食いしばった。
『祭ちゃんッ』
私は部屋に戻ろうとする祭ちゃんを必死で抱き止めた。
『待って! 祭ちゃん!』
『出て行って!』
『今は無理だけど、いつかできるようになるからッ』
『嘘、言わないでッ』
『嘘になるかもしれないけど、できないかもしれないけど……!』
息を乱して、互いに吐き散らす。
『そこまでしなくていいッ』
『するッ』
『なんで、妻鳥が私のなんだって言うわけさッ』
腕を引き剥がされて、私は床にべしゃりと倒れた。
彼女を見上げる。
震えている手を、無我夢中で掴んだ。
『祭ちゃんこそ、私のことなんだと思ってるの!? 酷い言葉をかければ離れるなんて思ってた? 残念だけど私めちゃめちゃ執着するタイプだからッ』
半ば引きつったように笑った。
『ね、だから明日は……一緒に行こうよ』
『そんなことしたって……戻れない』
『戻れるよ、ね』
『みんなと楽しくやれる自信がない。休み時間も、苦痛でしかない……』
『私がいるよ、祭ちゃん』
漸く、祭ちゃんの本音が聞けた。
無理に楽しく見せる必要なんてない。
しんどいなら、人と喋らなくたっていい。
合わせなくたっていい。
祭ちゃんを抱きしめる。
『祭ちゃんには、私がいるから安心しなさい!』
返ってくる言葉なかったけど、彼女の腕が私の背中に強く巻き付いていたのだった。
その後、祭ちゃんは運動会にも無事に出ることができた。
他のクラスメイトとも上手くやれたみたい。
祭ちゃんはそれからちょくちょく不安定な所もあったけど、なんとか大事な時期を乗り越えることができたのだった。
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