過去ログ - シェアハウス (オリジナル百合)
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29: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/05(金) 20:14:00.52 ID:CnMOex1r0
彼女はあの日駅で別れた時と同じような寂しそうな顔をした。
「妻鳥もやっぱり私のこと見放すんだ」
「……おかしいよッ。なんで、あんな所に……いつからいたの」
「妻鳥と別れて、暫く経ってからずっといたよ」
これは、手の込んだ冗談なんだ。
きっとそうに違いない。
私の頭が固いんだ。
「ほら、桃ちゃんが……家にいたよね。その時は?」
「桃? 確かに、桃はあの家に住んでたけど。もういないよ」
「どこに……?」
「遠くの親戚の家に引き取られたから。私はこっちで一人暮らしを認められたから残った。桃は私にべったりだったから。一緒に暮すのは苦ではなかったけど、私には私のやりたいことがあったしね。ああ、この部屋、古いけど広くてよくない? 妻鳥が楽しそうに料理を作るのを見てて、凄くお腹空いたりしてさ……」
「おかしいよ! 祭ちゃん、自分で分からない?」
「妻鳥を観察するのがおかしいってこと? それは、確かにおかしいとは思うよ。でも、妻鳥なら許してくれると思った」
私は携帯を強く握りしめる。
祭ちゃんは肩より少し短い茶髪を横から後ろに掻き上げながら、
「分かってくれると思ったんだけど。妻鳥もやっぱり、その程度なんだ。だよね、友達に人生懸ける方がよっぽどさ……おかしいよね?」
憎しみに近い冷めた目。
けれど、どこかまだ求めている。
私は、息を呑む。
おかしいのは、彼女の方なのに。
犯罪レベルだ。
その行為を咎めている私に、彼女は言った。
「妻鳥の方が正しいよ」
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