過去ログ - シェアハウス (オリジナル百合)
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40: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/05(金) 23:50:49.51 ID:CnMOex1r0
地面から離れたような不安定さと快感に耐えた後、私は息を荒げて彼女にナイフを突きつけた。

「はッ……はなれて」

彼女は両手を上げる。

「もう、ここには来ないよ。安心して」

祭ちゃんはふふっと笑った。
満足そうに。
彼女は服を着直して立ち上がる。

「どこに行くのッ」

「森かな」

笑って、背を向けた。

「祭ちゃん!」

肩越しに、こちらを振り返る。

「それ」

部屋干しのハンカチに指を差した。

「まだ持っててくれたんだ。ありがとう」

「だって、祭ちゃんがいない時は……」

「じゃあ、大丈夫だね」

「祭ちゃんは……」

彼女はそれには答えなかった。
妹の所に行くのだろうか。
それとも、あのナイフはやはり身を守るために持っていたのだろうか。
二度と会えないような気もした。
また会っても、私は祭ちゃんを傷付けてしまうかもしれない。
暗闇へと溶け戻っていく彼女を引き止める言葉は私の中には無くて。
何もかも夢であればとそればかり願っていた。
ブーゲンビリアの花びらからは、ポタポタと絞りきれなかった水滴が落ちていた。





終わり


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