過去ログ - 京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」県内編
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72: ◆2nrFb/cgFg[saga]
2016/02/02(火) 01:24:45.52 ID:SPAOH17vo
「おかしいわーぁ。確かこの辺のはずなんやけど」


 自然公園の隅のベンチでミルクココアを飲んでいると、生け垣の向こうから少女の困り声。

 いくら俺が女好きでも、へこんでいるときまでがっつくほどではない。

 訛りからして関西の人かな、と思った程度でそのまま聞き流した。

 そうしてから数分、何か揉めているような話し声が聞こえてきた。

 先ほどの少女の声と、2,3人の男の声。

 これは定番のあれか、絡まれる美少女を助けるパターン。

 男の声は酒か何かで焼けたようなガラガラ声で、正直あまり近寄りたい雰囲気ではない。

 もし件の声がか弱い少女なのであれば、怖いなんてものじゃないだろう。

 ここで見捨てるということも俺にはできる。聞かなかったことにすればいいだけだ。

 だが、そうしたら後悔しそうな気がした。いくら沈んだ気持ちだとはいえ、

 それを理由に縮こまっているのはもっと嫌だ。淡に顔向けできないだろう。


「だから、間に合ってますーぅ。ご親切はありがたいですけどーぉ」


 生け垣を回り込んで覗いてみると、なぜかナース服を着た少女とそれを囲むように立つボロを着ただけの男が3人。

 明らかに事案である。とりあえず携帯電話を取りだし、110番をプッシュ。

 一行に聞こえるかどうかの距離で警察に男たちの特徴を伝える。

 そうしてからようやく、俺は行動に移った。


「おっちゃんたち、早く逃げた方がいいと思うよ。今警察呼んだから。聞こえてたでしょ?」


 男たちは驚いてこちらを振り向いてきた。内容までは聞こえていなかったのだろうが、

 それでも誰かが電話している声だとは認識できていたのだろう。

 ところでこの長野清澄では、最近ホームレスへの風当たりが強い。

 市長がそういう方針を前面に打ち出しているのだ。

 施設に放り込んで無理矢理に近い形で職業訓練を施すのだとか。

 男たちは見た目からしてその対象だろう。

 悪態を吐きながらもそそくさと逃げるように去っていく。

 それを確認して、俺はちらっとナース服の少女へ視線を走らせる。

 衣服の乱れなどもないしどこかを庇っている様子もないから怪我も無さそうだ。

 我ながら格好の悪い助け方をしたように思う。なので早々に立ち去ることにする。



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