過去ログ - 京太郎「男子が混ざったっていいじゃないか」県内編
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82: ◆2nrFb/cgFg[saga]
2016/02/02(火) 01:35:35.00 ID:SPAOH17vo
 俺が教本を探して棚を眺めているときに、

 嬉しそうな雰囲気で南浦プロの教本を撫でていたので声をかけたのだ。

 最近麻雀を始めたんだがオススメの教則本はないですか、と。


「お爺様の本の発売が嬉しくて不審者かどうかなんて考えもせずに答えてしまった」


 とは南浦さんの言葉だ。確かに不用意な声のかけ方だったかもしれない。

 だが、俺は確信を持って声をかけたのだ。

 この少女からは、桃子ほどではないが優希と似たくらいには異質な雰囲気がする。

 普段の染谷先輩と同じような、水面下で力が出番を待ってぐつぐつと沸き立っているような雰囲気。

 直感を信じてみたのだ。


「技術だけなら最近のデジタル雀士、それこそ瑞原プロの本が一番だと思うわ」


 そしてその直感は間違っていなかったと思う。


「瑞原プロの本は水着写真集と一緒に買うと割引だったりするから、男の子にはちょうどいいんじゃない?」

「最初に言ったように、俺が今学びたいのは単純な技術だけじゃないんだ。その部分は部活でもどうにかできるから」


 南浦さんはそう言った俺をじっと観察し、ふいっと目を逸らしてからだったらと南浦プロの本を薦める。


「私のお爺様の執筆した教本なのだけれど。

 まだメジャー競技として認められる前の、それこそ血でお金を洗うような暗い時代からお爺様は第一線で戦っていたの。

 イカサマも当たり前のように飛び交って。それは技術だけでは絶対に防げない。

 確かな技術と、研ぎ澄まされた勘。プロ級の雀士ならガン牌もできて当然だったらしいしね」


 つまり南浦聡プロはイカサマには手を染めず、それでいて鉄火場を生き延びたと言いたいようだ。

 そして、今の時代にお天道様の下を大手を振って歩ける暗黒時代からの雀士は

 イカサマをものともしない直感を備えていたと。

 まさに俺の求める道ではあるまいか。


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