過去ログ - もしもアタシがカリスマじゃなかったら
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7:名無しNIPPER[saga]
2016/02/07(日) 01:37:55.30 ID:FNkC1mc90
あの時の346プロはアイドル事業強化のために、モデル部門とか演劇部門とかから色んなアイドルを引っ張ってきてたんだ。スカウトはその一環で、アタシはアイツからお誘いされたワケ。
勿論アタシは突然の勧誘に動揺しまくりだったけど、メッチャ丁寧に仕事の中身とか教えてくれるの。
元々アタシもルックスには自信あったし、カラオケ好きだしさ。話聞いているうちに乗り気になってきてね。いやー、今思うとアタシちょろいなぁってなるよね。
その日の内にアイドルになることが決まって、そのままアイツはアタシの担当プロデューサーになった。
アイツのあの時の仕事はアタシみたいにスカウトされた元一般人の育成。アタシみたいな立場のアイドルは他にも何人もいた。


8:名無しNIPPER[saga]
2016/02/07(日) 01:38:52.62 ID:FNkC1mc90
アイツの仕事っぷりは凄かったよ。……いや、これは言うまでもなく知ってるだろうけどね。
仕事がガンガン入ってくるの。スケ帳みっちりになるくらい。凄いのはそれはアタシだけじゃなくて他の子も同じくらいの仕事を入れてくるとこ。
アイツは顔が怖くて、身体も大きくて、何考えてるかわかんなかったけど、それでも仕事面だけは凄かった。

でも流石に最初はちょっとキツかったなー。仕事と言っても裏方ばっかりだしさ。今思えば当たり前なんだけど、あの時のアタシはワガママでさ。
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/02/07(日) 01:40:02.09 ID:FNkC1mc90
でもある時、アタシのCDデビューが決まったんだ。そう、アンタもよく知ってるあの曲ね。
すっごく驚いたよ。雑務レッスン雑務レッスンからのCDデビュー。いきなりだったからね。歌うのは好きだけど、売り物になるっていうのはやっぱ緊張するし。
そこから裏方の仕事はあまり入ってこなくなって、代わりにレッスンの時間が増えた。今思うと、アイツはいつもレッスンに顔を出してくれてたなぁ。
あの時はまた来たよアイツ。なんて思ってたっけ。ふふ。
それで、最初のデビューライブはまあまあな広さの屋外に決まったんだ。時期は確か……秋だったな。
以下略



10:名無しNIPPER[sage]
2016/02/07(日) 01:41:23.09 ID:6Alyy+S/O
美嘉のセリフか凛のセリフか分かりにくすぎる
明確に口調が違う二人でもなければ地の文がある訳でもないし
連続する鍵かっこで交互に喋ったり片方が二連続で喋ったり統一されてないし


11:名無しNIPPER[saga]
2016/02/07(日) 01:42:03.64 ID:FNkC1mc90
で、歌い終わって舞台袖に引っ込んだアタシのところにアイツが来た。
何をするのかと思えばさ、自分のコートを脱いでアタシの肩にかけてくれたんだ。
ほら、アタシの衣装露出多いじゃん?ライブ前は緊張で気がつかなかったけど結構肌寒かったし。
アイツの体温がまだ残っててさ、あのコートを着ていると、なんだか安心したんだ。
あんまり信用してなかったアイツのコートがこんなに暖かいなんて、ってね。意外だった。
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/02/07(日) 01:43:43.56 ID:FNkC1mc90
アタシは驚いたよ。コイツにもそんな顔が出来たなんて。コートも、自分だって寒いだろうに何も言わずに着せてくれた。
あの時にやっと分かったんだ。アタシの担当はただ不器用で、真っ直ぐで、誰よりも笑顔に拘っているんだって。
嫌がらせみたいに思えた仕事量も、芸能界がどんなところなのか良く知るキッカケになったし、レッスンだってしっかりできたからライブを成功させられた。
ただ機械みたいに働いているだけだと思ってたアイツが、アタシが寒いって言う前にコートを着せてくれる位にはアタシのことをしっかり見てくれてたんだって。

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2016/02/07(日) 01:44:47.44 ID:FNkC1mc90
そこからはトントン拍子でちゃんとしたアイドルの仕事が増えた。
ライブだったり、撮影だったり、トークだったり。特に雑誌のモデルの仕事は多くてさ、同年代くらいの女の子のファンがたくさん出来たんだ。

「城ヶ崎さんは十代から二十代の女性からの支持が多いので、これからは若い女性達のカリスマとして売り出そうと思っています」
アイツとこれからの方向性について話し合った時ね、アイツはそんなこと言ってた。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/02/07(日) 01:45:40.88 ID:FNkC1mc90
……でも、アタシと同じように考えられるアイドルが全てってワケじゃなかった。
アタシの同期の内、何人かがアイツの元から去っていった。
アイツはアイドルのことを思って仕事をくれていた、それは間違いないよ。でも、どうしても無口な性格は変えられない。
どうしても表面上は他人行儀になっちゃうし、見た目だって怖い。そんな人を信用しろっていうのは、十代の女の子には中々できることじゃない。
きっとアタシみたいな方がレアなんだと思う。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/02/07(日) 01:46:37.81 ID:FNkC1mc90
どこにも悪者なんていないのに、アイツも、あの子達も、心に深い傷ができちゃった。
真面目な性分のアイツだからあの出来事は相当効いたみたいで、アタシと話している時も目に見えて暗くなってた。
誰よりもアイドルを大切に思ってるアイツだったからこそ、アイツは自分の不器用さのせいでって思って自分を責めていた。
それを見てるのは……辛かったよ。
アタシには何にもできない。アタシはいなくなった子達と同期ってだけで繋がりが薄かったから詳しい人柄とか知らなかったんだ。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/02/07(日) 01:47:23.49 ID:FNkC1mc90
その出来事の後、アイツは益々表情が無くなって、顔も怖くなって。
アタシと話す時ですらどこか臆病になっちゃって、距離を置くようになった。
このまま幽霊みたいに消えてしまうんじゃないかって思えたくらい。
アタシはそうなるのが嫌だった。だから、アイツが持ってくる仕事はきっちりこなした。

以下略



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