過去ログ - 【安価】ニンジャスレイヤー・ボーンオブ・ソウカイニンジャ【豊満】(Part16)
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835:名無しNIPPER
2016/03/07(月) 12:11:27.77 ID:ZtDl0w4r0
「はーい皆様ぁ、おつかれさまでございますー! 本日のマーダータイムは終了いたしましたが残念ながら……殺人はゼロ! ゼロゼロゼローー! 楽しくありませんねー」

 あの桐生包囲網開始から数時間後、18時を回っていた。
 この日、桐生が<絶対服従>を使うことも、銃声が轟くこともなかった。そもそも包囲網自体、14時頃には解かれていた。1時間以上予定よりも長いものとなったが、誰も桐生の餌食にならなかったのだから問題はなく、全員汐音の部屋に戻ったのだ。各自の個室に戻らなかったのは、互いに抜け駆けをできなくするためだ。
 本来であれば、プレイヤー達は各々の個室に戻る必要があった。マーダータイムが終わるより前に、武器を自分の部屋に戻さねばならないからだ。そうでなくては、特定の能力者以外は、マーダータイム外に武器を個室から持ち出してはならない、というルールに抵触してしまう。しかし、その必要はなかったのだ。
 なぜなら、彼らが今日、桐生を包囲するのに持ってきていたのは、全てモデルガンだからである。それは、今は亡き自衛隊、仙道が持っていたものだ。彼が何かに使えると思い、用意していたものだろうが、こんな形で有意義になるとは本人も思わなかったことだろう。
 桐生が気づいた、『全員の拳銃は種類が異なる』というもの、これは誤りなのだ。いくらモデルガンがあったとはいえ、当然それは、この館で支給されたものとは違う種類。しかし、秋山は言った。『桐生は拳銃を使わないと宣言している上、誰とも接点を持っていない。全員バラバラの種類のモデルガンを持っていれば、桐生を誤解させてモデルガンだとバレることはない』、と。実際その思惑がピタリとハマったわけだ。
 では、なぜそもそもモデルガンを使うなどという手間をかける必要があったのか。 それは、万が一にも桐生を囲った4人の内部で、攻撃し合うわけにはいかなかったからだ。単純に裏切りということもありえるが、桐生から操られた際の対処として、これ以上の方法はない。武器が無意味なものならば、攻撃意思もそうなるだけなのだから。
 そして汐音の部屋に一同が介したのは、もうひとつ理由がある。あの場にいなかったプレイヤーの動きを確認するためだ。

「それにしても、ちゃんと出来ててよかったよねぇ、伊集院くん」
「バカにするなよ、あんな簡単なこと誰だって出来るだろ!」

 どうやら、その動きは上手くいっていたらしい。神崎が伊集院の頭を軽く叩きながら桐生を見ていた。桐生はあいかわらずの足投げ出しっぷりでイスに腰かけ、一瞥もくれてやらない。

「しかあーし!  なーんと今回、残念ながらペナルティを受けてしまうプレイヤーがいまーす! これで3日間能力が使用できなくなる上、楽しい楽しい殺人ができなくなってしまいますー、退屈な日々になりますねえ?」
「ペナルティ!?」

 今日殺しがなかった。その事実に安堵しつつ、ペナルティを受けるプレイヤーがいることに驚くのは天海。マスターとしては、その一挙一動にいちいち反応してくれる彼女は良いお客さんである。
 天海が個室から出ているのは、マーダータイムが終われば、自分が初日にして番号を晒してしまった愚行も関係がないからであり、ゲームの行末を気にしているからである。ルールに反して今殺しを行うプレイヤーがいたとしても、それは自分を狙うものではない、と秋山に教えられているからでもある。せっかく天海は番号が割れているプレイヤーなのだから、マーダータイム以外で殺しては勿体ない。よってそれ以外の時間では殺されない、という理由だ。

「ま、マスターさん! そのペナルティになるプレイヤーっていうのは……」

 いいお客さんは、やはりいいお客さんのままで。マスターがあえて溜めた部分をうながし、聞き入っている。

「ふふふー気になりますよねぇ! そこまで言われたらお話せざるをえませんねえ! その、ペナルティとなるプレイヤーは……」
「プレイヤーは!?」

 なおも天海は急かし、それにマスター答え、

「桐生様」

少しトーンを抑えて発表した。

「これって……」

 天海は少しだけ聞いていた。今日秋山達が行うことを。それがうまくいったのだと、この結果から分かった。当の桐生は、動じることなく欠伸に欠伸。

「残念でしたね、桐生。あなたはハメられたのですよ、私達に。これであなたは殺されるだけの立場になります。弱者ですね」

 欠伸を噛み殺しもしない桐生に、事態を把握させるために、あえて汐音が突き付ける。
 が。

「そして、汐音様、神崎様、秋山様、柚木様でございまーーーーーす!」

 マスターの発表は、桐生で終りではなかった。今度は、語尾を上げて高らかな宣言となっていたのだ。

「!?」
「えー? 私達もペナルティなのー!?」

 神崎と汐音は、同じように桐生からマスターに振り返り、柚木はただ、口に手を当てて驚くのみ。そして秋山だけは、

「伊集院、てめえまさか!」

 伊集院に詰め寄り、その胸倉をつかんだ。
 伊集院は、それ以上やったらルール違反で破棄されるよと秋山の手をほどきながら、

「ふふ……ふっふっふ……そのまさかだよ秋山お姉さーーん! そうだよ……ボクが皆をハメたんだ……ごめんね、裏切って……とでも言うと思ったぁ!? 皆ボクを舐めすぎなんだよ! だからこういうことになるんだよね−!」

と、全員に聞こえるように嘲笑の渦を巻いた。
 そのまま伊集院はテーブルの上に登り、全員を見下せる高さに来た。そして、全プレイヤーの顔色をゆっくりとうかがった後、

「ここからは……ボクの支配が始まるんだ!!」

大きく手を広げ、大きくのけぞり、そう言い放ったのだった。


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