過去ログ - 綾乃「恩人が分かんない稚内なのよ」
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7: ◆okE7RBemauzk[sage saga]
2016/02/09(火) 21:59:17.24 ID:ZF+BJpS80
「歳納京子ーッ!!」

ごらく部の障子を両方開きながら綾乃は叫ぶ

恥ずかしくても勇気を出さなければこの役職は務まらないと彼女は思う

「来たか!ちょっちまっち」

後転をしてバックを取る京子はすかさず中からプリントを見つけてでんぐり返しをして帰ってきた

「京子。ちゃんとあるなら、なんで教室にいるうちに渡さないんだよ」

船見結衣が京子を諭す。が、彼女は歯牙にもかけないようにこう言い放った

「それじゃあ、つまんないだろう。こうでもしないと綾乃来ないし」

(まるでそれじゃあ私が…)

言葉尻を捕えようとも考えたが、敢えて言わなかった。いや、言えなかった

「悪かったわね、堅物で」

プリントをふんだくりながらも綾乃はプリントを"忘れて"くれることを感謝した

「そういや、熱中症は大丈夫だったか。綾乃」

彼女はこの言葉に立ちすくんでしまった。知っていたのか、私の醜態をとすら思った

「大丈夫よ、何でもないわ」

心配はかけたくない。その人を思えばより、そう答えてしまうものだ。彼女は少しまだ、熱中症の余韻というべきものが残っていた

「私がいたら看病したのに」

京子は凛とした表情で綾乃に言った。その視線のせいで綾乃の顔は赤くなった

「そんなこと言って、その間にプリンを盗み食いするつもりだったんだろう?」

結衣は京子にツッコむ。結衣にはお見通しだった

「げぇ、結衣なんで分かった!?」

綾乃はそんな二人のやりとりを羨ましくも寂しく見ながらあることに気が付いた

「へぇ、じゃあ歳納京子じゃなかったのね、私を助けてくれたのは」

歳納京子が恩人ではないのがだいぶ残念なことに思える。しかし、そこが問題じゃないと言えばない

「うん。私はずっといたぞここに」

綾乃の言葉に京子がうなづいた

「じゃあ、もしかして綾乃、助けてくれた人が分からないんだ?」

結衣が綾乃に訊く

「お礼の一つでもしなくちゃとは思うんだけど、顔も見てないし声もいまいち…」

綾乃は必死に思い出そうとしても何一つ思い出せるものがない

「しまったなぁ、私だって名乗り出たらあんなことやこんなことできたかもしれないのか…」

京子は非常に残念そうにうつむいた。すかさず結衣が

「おいコラ、何をしようと思ったんだ何を」

とツッコむ。京子はその妄想に浸ってなのか顔を赤らめていた

「たまには、千歳の妄想に乗ってあげるっていうのもいいんじゃないか。ねぇ、あ・や・の?」

普段の綾乃にとっては悪魔の囁きだったかもしれない。しかし、もう一つの問題で頭を抱えている綾乃にとっては、そんなことにすら気が付かないほど考え込ん
でいた

「しないわよ。あんなことやこんなことなんて。邪魔したわね、二人とも」

もうすぐ、下校時間になる


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