過去ログ - ジャムおじさんの息子
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:02:05.80 ID:/p0Ll9udO
しばらく街や森の上を飛んで、僕たちはパン工場へたどり着いた。
かばお君とうさこちゃんは、ぴょんと僕から飛び降りてパン工場の扉を開ける。
中の工房では、ジャムおじさんとバタコさんとチーズがお茶を飲んでいた。


「ただいま、ジャムおじさん」

「パトロールご苦労様、アンパンマン」


バタコさんはかばお君たちを招き入れて、人数分のイスを用意した。
僕もかばお君たちの隣に座って、ジャムおじさん達の方を見る。


「ジャムおじさん、二人がジャムおじさんにお願いがあるみたいなんです」

「そうなのかい。一体どうしたんだい?」


かばお君とうさこちゃんは少し言いづらそうにしながら、沈んだ声でジャムおじさんに聞いた。


「あの、パンを分けてくれませんか?ちびぞう君に食べさせてあげたいんです」

「それは構わないけど、なにかあったのかな?」

「えっと……僕たちもよく分からないんです。
なんだか元気がないみたいで、おうちからも出てこないし」

「だから、とにかく元気が出るものあげたいなって二人でなにがいいか考えてて。
そうしたら、アンパンマンがジャムおじさんのパンがいいって教えてくれたんです」

「そうかい。私のパンで元気が出るかは分からないけど、用意するよ。
今ちょうど焼き上がるところなんだ」


そう言ってジャムおじさんは立ち上がると、バタコさんと一緒にかまどを開けて、バスケットにパンを詰めてくれた。
かばお君が食べたそうな顔をしているので、ジャムおじさんはかばお君とうさこちゃんの分も用意してくれた。


「僕、二人と一緒にちびぞう君の家まで行ってきます」

「ああ、頼んだよ」

「ジャムおじさん、アンパンマン、本当にありがとう!」


ジャムおじさんとバタコさんとチーズは、パン工場の外に出て僕たちを見送ってくれた。
僕の背中に乗せたバスケットから、美味しそうな香りが僕たちを包み込む。
かばお君が僕の背中の上でパンを食べようとしていたので、僕はちょっと苦笑いしながら止めた。
でも、飛びながら食べたら美味しそうだなと言っているのを聞いて、結局僕は許してしまう。
かばお君とうさこちゃんが楽しそうに食べてくれていると、僕も一緒に食べたような気になって、なんだか楽しかった。


「さぁ、着いたよ」


僕は二人をゆっくりと地面に降ろし、二人の横に着地した。
目の前にはちびぞう君の家があって、玄関の前にはお花が植えてあった。
一つ一つが綺麗な花びらを風に揺らし、とても可愛らしかった。


「この花ね、ちびぞう君が育ててるの」

「へぇ、すごいんだね。ちびぞう君」

「うん。鼻からお水をあげられるから、じょうろがいらないんだって」


僕たちは花の横に並んで立って、玄関の扉を叩いた。


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