28:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:58:57.49 ID:/p0Ll9udO
しょくぱんまんが倒れている森からあまり離れずに、僕たちはそばの草原へ降り立った。
そよそよと風に揺れる柔らかい草の中、ばいきんまんの顔を模した装置が、とても不釣り合いに置いてある。
ばいきんまんがスイッチを押すと、口のような扉が開き、僕はその中へ入るように言われた。
「この中に入ってしばらくすると、心が良い心と悪い心に分かれるんだ」
「えっ、悪い心が無くなる訳じゃないの?」
「これは押さえ込むだけだって言っただろ。
お前の心が良い心の方が強ければ、悪い心の方は出てこれなくなるのだ」
「それは……」
「正義の味方なら、良い心の方が大きいはずだけどなぁ。
自信がないなら、俺様はこれで」
「待って!」
僕は焦ってばいきんまんの腕を掴む。
「この中へ入ればいいんだよね?」
「そうそう。ほら、俺様を信じるのだ」
心の奥の方が、大きな音をたてて僕を引き留めた。
けれど、僕は強引に自分に言い聞かせる。
「ばいきんまんを疑ってはかわいそうだ」と。
それは自分のために唱えた言葉なのに、僕はそんなことも分からないふりをして、装置の中へと入った。
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