過去ログ - ジャムおじさんの息子
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36:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 06:12:25.71 ID:/p0Ll9udO

「僕は……」


僕は、なにをしているんだろう。
なにも分からないまま、僕は灰色の景色の中を飛んでいる。
下の方に見える街は黒ずんで、人の声も悲鳴しか聞こえない。
誰かのすすり泣きも聞こえるのに、僕はどうやら笑っているようだった。

そんな僕に追い付いて、しょくぱんまんとカレーパンマンは僕を説得しようとした。


「アンパンマン、お前の気持ちは分かるぜ。
俺だって話を聞いた時はショックだったし、お前はもっとだろ?」

「ものすごく辛いですよね……私にも分かります」


僕は気がつくともっと笑っていた。


「君たちには分からないと思うよ。だって、僕は辛くなんかないんだから」

「えっ?」

「僕は辛いと思っちゃダメなんだよ」


僕は灰色のカレーパンマンを下へ蹴り飛ばし、街の屋根に激突させた。
そんな僕を押さえ込もうと、しょくぱんまんが僕を羽交い締めにする。
しかし、僕はしょくぱんまんを殴り飛ばし、どこかの屋根へ墜落させた。
その度に子供たちの叫び声が聞こえてきて、僕を怯えた目で見つめる大人の姿が見えた。

そんな中、遠くからばいきんまんのUFOが飛んでくるのが見えた。


「よ、アンパンマン。俺様の実験は成功だったみたいだな」

「ばいきんまん……!」


僕はきっとものすごい形相で彼に襲いかかったんだと思う。
彼は今まで見たことがないくらい、怯えた顔をしていたから。


「ぐわー!」


ずどん、という音ともに、ばいきんまんの落ちた所から煙が広がった。
僕はそれをただ冷たい気持ちで見ていた。


「くっそー!アンパンマンめ……」

「ばいきんまん!」


その時、墜落した彼のUFOにピョン吉君が駆け寄った。


「ばいきんまん……アンパンマンがおかしくなったのは、ばいきんまんのせいなんでしょう?」

「へっ?」

「アンパンマンを元に戻して!僕のお弁当ならいくらでもあげるから!」

「僕も、アンパンマンがこんなことするなんて嫌だよ!」


ピョン吉君に続いて、かばお君もばいきんまんに駆け寄った。
そして、ちびぞう君やうさこちゃん、街の子供たちがみんなばいきんまんを取り囲んだ。


「お願い!私のおかしなら全部あげるから!」

「僕も、おもちゃなんかもういらない!」

「ちゃんと嫌いなものも食べて、はみがきもするからー!」


なにか的はずれなことを言っている子もいたけど、みんな必死で泣いている。
ばいきんまんもさすがに戸惑っていると、そばにカレーパンマンが降り立った。


「分かってるのか、ばいきんまん。
お前はアンパンマンを殺したんだぜ」


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