4:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:04:57.21 ID:/p0Ll9udO
「こんにちは」
少し緊張しながら返事を待つと、中から近づいてくる足音が聞こえた。
そして、扉がゆっくりと開き、でかこ母さんが現れた。
「こんにちは、かばお君、うさこちゃん。アンパンマンもちびぞうに会いに来てくれたの?」
「ええ、二人がちびぞう君に渡したいものがあるみたいなので、一緒に会いに来ました」
「そう……。とっても嬉しいんだけど、ちびぞうったら部屋から出てこないのよ。
具合が悪い訳でもなさそうだし……」
「じゃあ、会えないの?」
「うん、ごめんなさいね」
「そんなぁ」
かばお君とうさこちゃんは、がっくりと肩を落とした。
僕は慌てて、二人を元気付ける。
「でも、二人はちびぞう君のために、ジャムおじさんにパンを頼んだんだよね。
きっと喜んでくれるんじゃないかなぁ」
「あら、ちびぞうのためにパンを?」
「うん……これ……」
暗い顔でバスケットを差し出す二人を、でかこ母さんはぎゅっと抱き締めた。
「ありがとうね。ちゃんとちびぞうに渡すから」
そして頭を撫でて貰って、二人は少し元気が出たようだった。
「じゃあ、僕たち帰るけど、明日はちびぞう君に会える?」
「ええ、きっと大丈夫だと思うわ。
なにがあったのかは分からないけど、こんなに心配してくれる友達がいるんですもの」
でかこ母さんは僕の方も見て、とても優しそうな顔で笑った。
「アンパンマンもありがとう。ジャムおじさん達にも、ありがとうって伝えてね」
「はい、それじゃあお邪魔しました」
かばお君達は元気に手を振って、でかこ母さんも手を振りながら家の中へ戻って行った。
僕はかばお君たちと別れて、まだ見回っていないところへ、パトロールへ行くはずだった。
「アンパンマン」
58Res/91.13 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。