7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:09:58.16 ID:/p0Ll9udO
彼らの後ろ姿を見送って、僕はでかこ母さんに教えられた通り、ちびぞう君の部屋を目指す。
こんこん、と扉を叩くと、ちびぞう君が顔を出した。
「どうしたの?ちびぞう君。みんな君のこと心配しているよ」
「うん……」
ちびぞう君は心細そうにパジャマの裾を握った。
そして暗い顔で僕を中へ案内した。
「ちょっと散らかってるけど……」
中をつい見回してしまった僕を見て、ちびぞう君が少し恥ずかしそうにした。
ちびぞう君の言う通り、部屋の中はあまり綺麗ではなかったけど、飛行機や車のおもちゃが置いてあって、とても楽しそうな部屋だった。
窓際の小さな机の上には教科書が乗っていて、僕は憧れの眼差しでそれを見つめる。
「これって、算数の教科書なの?」
「うん、そうだぞう」
「そうかぁ。僕教科書って使ったことがないんだ」
「えっ?どうして?」
「勉強はジャムおじさんとバタコさんが教えてくれたから、学校に通ったことがないんだよ」
「ふーん、うらやましいぞう。学校って結構めんどくさいんだぞ」
「そうかなぁ。僕は楽しそうだと思うけど」
僕はちびぞう君がベッドに腰かけたのを見て、その隣に座った。
「学校でなにか嫌なことがあったの?」
「ううん、勉強はめんどくさいけど、友達と遊べるから嫌じゃないぞう」
「じゃあ、どうして元気がないの?」
「それは……怖い本を読んだんだぞう」
「怖い本って?」
ちびぞう君は怯えた顔をしながら、膝の上に置いた手を見た。
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