過去ログ - 恭介「よしお前ら、エロゲを買いに行こう」
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28:名無しNIPPER[saga]
2016/02/15(月) 15:09:14.03 ID:MPnZcoStO
「待ってろ!今楽にしてやる!!」

2人は真摯に急ぎ、それでいてエレガントにレジへ向かった。
もはや彼らは隣で雷鳴が轟き、辺りが炎に包まれたとしても前しか見なかったであろう。地球上で彼らを止める者はもう、何もなかった。

「恭介…そのエロゲ、面白いといいね」

「ああ。そうでなくちゃ困るぜ」

目的地にたどり着くまでに2人の間に交わされた会話はこれのみであった。

「いらっしゃいませー…」

店員は静かに、何千回と繰り返してきたであろう台詞を2人に贈った。
いつもなら聞き流すその言葉に2人は重く頷き返した。
まず、恭介は2つの箱を店員に手渡した。レジの台に置くにはあまりに失礼な代物だったからだ。
慣れた手つきでバーコードを赤い光線によってスキャンする男。そして、その左下に記されている表記を見て、今晩の夕食を予想している顔を一瞬歪めた。
そして、遂に恭介が一番覚悟していた言葉を投げつける。

「あの…お客様、こちらの商品は18歳未満の方にはお売りすることが出来ないのですが…」

その言葉を待っていたとばかりに恭介は今まで胸ポケットにスタンバイさせておいた自分の運転免許を取り出した。
その動作を見た理樹は、数秒後に店員がお詫びする姿を思い描いて、失礼だと思いつつも少し顔をほころばせた。

「あ、これでどうっすかね…!」

恭介も理樹同様笑みを抑えきれなかった。頭の中で勝利の文字が大きくネオンを縁取り、光を放っていた。別段勝負をしていたわけでもないが。
そしてカードを手渡された店員が、それがなんであるかを確認した。しかし2人の予想とは違って、店員は、恭介が免許証を提示した動機を悟ると、そもそもそこに写っている顔の整った男と、目の前でニヤついている男が同一人物かを確認しようとはしなかった。
カードを恭介に返すと男は言った。

「あ、すいません。一応18歳に達していても学生さんにはまだ販売出来ないことになっておりまして…」

そう、恭介達の服装は完全なる制服だった。彼らを学生と言わずして何が学生か。
日本人らしく相手に理解を促してもらう口調で、宣言する店員。厳選された2本のゲームをレジの後ろに置くと、頭の中ではまた夕食の予想の続きが行われた。

「なっ………」

「あぁ…………」

現実は非情である。
もしもこの事にショックを受けず、冷静でいられたのなら未だに反復横跳びを続ける友人たちに役目の終わりを告げられただろう。
しかし、2人の頭の中は真っ白だった。何も考えられなかった。
かくして、店内では、
なおもしばらく2人の熱を帯びた汗が虚しくゴム床に滴り続けることとなったのである。




〜fin〜


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