過去ログ - 【モバマスSS】藤原肇と初めての思い出
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◆w72AKbkgD2
[saga]
2016/02/12(金) 12:32:21.22 ID:5vWbXCau0
きゃ、と肇は部屋に入ってすぐ小さく悲鳴を上げた。
ワイシャツ姿のPがベットに倒れこんでいたからだ。
家に帰るのでやっとだったのだろう。スーツの上着とコートは雑に脱ぎ捨てられている。ここまで具合が悪くなるまで働くなんて。
「Pさん、Pさん」
肇が耳元で名前を呼んでみると、Pはあぁ、とか、うぅ、とか小さな声で反応する。
音に反応しているだけ、そんな様子だ。短く、は、は、と苦しそうに呼吸をしている。
とにかくベットにちゃんと寝かさなければ。
幸い、腰まではベットの上にある。
足を持ち上げてベットに乗せて、真ん中まで転がせば……
重たい……
ぐったりと重力に身を任せるだけの人間って、こんなにも重たいものなのか、と肇は思う。
なんとか下半身をベットの上に引き上げ、よいしょ、とあんまり使うべきでないかけ声を出しながらPを転がす。
仰向けになったPは相変わらず目を閉じたまま、短く苦しそうに息をしている。
おでこを合わせてみる。
はっきりとわかる。高熱だ。
インフルエンザかもしれない。着けたままになっているネクタイをほどき、ワイシャツのボタンを緩めながら肇は思った。
布団をかけてあげたいところだけれど、掛け布団の上に倒れこんでしまっていたため、かける布団がない。
しかたない、と肇はPを布団のミノムシにする。
ほ、と一息をついて、肇はベットに腰かけ、Pの頭を撫でてみる。
あんまり無理するなよ、がんばりすぎるなよ、が口癖のPさん。
鏡でも持ってきましょうか、と肇は眉をひそめてつぶやいた。
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