過去ログ - 水本ゆかり「瞬くたびに変わるように」
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10:名無しNIPPER[saga]
2016/02/12(金) 14:40:55.50 ID:e0xKlt1b0

 ベンチの上を小さく払って、男の子はそこに座りました。

 小学生くらいのこの子は、どこかで見たことがあるような顔をして、少し笑っていました。

 大きな時計は短針を少しだけ進めてます。

「お姉さんは一人でなにしてたの?」

「私は、少し本を読んでいて」

 ほら、と詩集を手渡したら、パラパラとページを捲って、ふぅん、と興味なさげに突っ返されてしまいました。

「なんか悩みごと? 一人っきりなんて」

「いえ……ううん、そうです。少し悩んでたんです」

 こんな小さな子になにを言っているんだろう。
 そう思ってしまったけれど、それでも私の口からは言葉が止まりませんでした。
 宿題のこと、メロディが浮かばないこと。

 男の子はうん、うんと相づちを打ちながら聞いてくれて、心が少しずつ軽くなっていくような気がしました。



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