過去ログ - 安部菜々「その先も、ずっとずーっとウサミン星
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名無しNIPPER
[saga]
2016/02/14(日) 18:20:01.02 ID:mnHvmUBA0
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春の日差ざしが街を照らし、若葉の香りが混ざった風が吹く。爽やかな春の朝。
「ああー、遅れちゃう遅れちゃう!」
そんな爽やかな陽気の中、ナナは爽やかさなんて1ミクロンもない涙目の顔で全力疾走しています。先ほどすれ違った犬の散歩をしている御婦人と飼い犬が全力でこっちを見ていますが、無理もありません。ナナが逆に立場だったら絶対に振り返ります。
「年々朝起きるのは辛くなるのに、なんで事務所は近くならないのーっ!!」
我ながら最高に理不尽な文句を言ったものだと思います。気にしない気にしない。今大切なのは、始業に間に合うこと。
もはや慣れ親しんだ町並みを駆け抜けて事務所への道を走る。走る。
血相を変えて全力疾走をしたおかげか、ようやく事務所のビルも見えてきました。スマホで時間を確認すると、まだ少しだけ余裕がある。
「はあ……はあ……」
立ち止まって息を整える。もう、現役のときほど体力はない……いえ、あの時もこんなものだったかもしれない。私、『安部菜々』はそんな隙だらけのアイドルでした。
「うう……行かないと」
重い体を引きずって、なんとか事務所へと歩き始める。階段を昇るのは少し億劫ですけど、これも毎日繰り返して慣れたものです。
「……でも、そろそろエレベーターつけてくれないかなあ……」
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