85: ◆/BueNLs5lw[saga]
2016/02/28(日) 21:23:54.21 ID:xabxfl/s0
私の家への分岐点である郵便局前を通り過ぎる。
その頃には、人の顔が判別できない程度に陽は傾いていた。
歩道橋から混雑気味の車道を眺めながら、ふみかちゃんが呟いた。
「二人で帰るの久しぶりだね」
「私も、それ思った」
ふみかちゃんが同じことを考えてくれていたのは、素直に嬉しかった。
学校を出てから、私は少し不愛想だった。
彼女もそれを感じ取ってはいて、今の今まで無言だったのでほっとして私は言った。
「ごめん、無理に着いて来て」
ふみかちゃんはすぐには何も言わなかった。
もしかしたら、クラクションの音で聞き取りずらかったかな。
「うん……いいよ」
ふみかちゃんが答える。
続けて、私の袖口を掴んでこう言った。
「ねえ、今日私がどんなこと考えてるか分からなかったでしょ……」
彼女の目を見た。
暗くて良かった。
表情は窺えない。
「わ……分からなかった」
誘導されるように、私は言った。
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