過去ログ - 真姫「少し遅れたバレンタイン・デイ」
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名無しNIPPER
2016/02/15(月) 02:42:21.15 ID:AwFzoG1+o
「まーきちゃん」
「っ!?」
不意に襲い来る衝撃に手に提げていた鞄を取り落とす。
心拍数が上がるのを感じながら、背中に飛びついてきた人物を確認する。
「ほ、穂乃果!?」
「うん、穂乃果だよっ。おはよう、真姫ちゃん」
にへらと緩む棘のない顔。
いつでも楽しそうな先輩。過剰なスキンシップは、控えて欲しいのだけど。
「どうして穂乃果がこっちにいるのよ」
引っ付いた穂乃果を引き剥がし、気になったことを尋ねる。
穂乃果の通学路と私の通学路が合流するのはもう少し先だ。穂乃果は態々、こちらのほうまでやってきたことになる。
「んー……。昨日、真姫ちゃんの様子が変だったから、気になっちゃって」
「そんなことないわ」
「なら、いいんだけどね。……と、カバン」
穂乃果が地面に転がった私のカバンに手を伸ばす。
「……ってダメっ!」
穂乃果よりも先にカバンと、落ちた衝撃でカバンから飛び出たチョコの包みを回収する。
見られた、だろう。あまりにも行動が遅かった。
「真姫ちゃん、それ」
「なんでもないわ!」
「……真姫ちゃん」
「なんでもないの!」
何度もなんでもないと繰り返す。そうでもしていないと惨めさでどうにかなってしまいそうだった。
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