過去ログ - 灰色の世界に彩りを！ -SS速報VIP

過去ログ - 灰色の世界に彩りを！

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13:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:38:59.51 ID:E+Y7UT9W0
先ほどから一人楽しそうに歩く女に、男は尋ねる。

「こんな通学路、何が楽しいのさ？」

変哲もないただの道だ。

14:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:40:18.67 ID:E+Y7UT9W0
結局、散歩するだけで日が暮れた。
楽しそうだったのは女だけで、男はただ歩いていただけだ。

河川敷に座り、夕日を眺める二人。

以下略

15:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:42:16.79 ID:E+Y7UT9W0
灰色の夕日は、地平線に沈もうとしていた。
そろそろ帰ろうか、という女に、男は尋ねた。

「結局、夕日は灰色だったね。今日は一体何だったんだい？」

以下略

16:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:44:22.74 ID:E+Y7UT9W0
女は続ける。

「君は草は全部雑草に見える、って言ったね。
　そんなことない。雑草なんて草はないんだよ。

以下略

17:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:45:52.13 ID:E+Y7UT9W0
「子供の頃は世界は広く、輝いていたよね？　
　それはね、何もかもが新鮮だったからだよ。

　だけど人は成長し、程度はあれ人は新鮮さを失う。
　その極地が、君だ」

以下略

18:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:48:00.99 ID:E+Y7UT9W0
女は手鏡を取り出し、男に渡す。

「どうかな？」

　男は震える手で手鏡を覗きこむ。

以下略

19:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:49:03.48 ID:E+Y7UT9W0
あれから、哲也は散歩をよくするようになった。
道を歩くと、ウグイスの鳴き声が優しい風に舞っている。
春到来を哲也は感じる。

「へえ、これがタンポポか」

以下略

20:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:49:57.55 ID:E+Y7UT9W0
いつものように哲也は彼女と共に、通学路を散歩する。

見慣れたはずの通学路、と前に哲也は言ったが、全然そんなことはなかった。
毎回毎回驚きと新たな発見の連続だ。

以下略

21:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:51:30.22 ID:E+Y7UT9W0
学校の屋上から見る夕焼けは、酷く明るい朱色だった。

白に近い太陽が地平線の彼方へ沈みかけ、雲はまるで水に牛乳を垂らしたように薄く伸びている。
温かくて、だけどどこか寂しさを覚える、綺麗な色だ。

以下略

22:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:52:25.37 ID:E+Y7UT9W0
「結局、この夕日は何色なんだろうね？」

「白色だね。
　僕の世界じゃ、確かに輝いている、綺麗な白色だ」

以下略

23:名無しNIPPER[saga]
2016/02/17(水) 10:53:20.78 ID:E+Y7UT9W0
「何か言うことは？」

「……？」
　
ニヤニヤと笑う哲也に、彩輝は地団駄を踏む。

以下略

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