過去ログ - まゆ「完成しないジグソーパズル」
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2:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:45:41.93 ID:vrlgUmvyO
「まゆ、欲張りなんでしょうか」
そう言うとまゆはため息を1つ可愛らしくついて、俺のほうを見た。正確には俺の背中をだが。背中に感じる熱い視線に耐え切れず、「なんでそう思ったんだ?」と俺は聞いてみた。
3:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:46:16.56 ID:vrlgUmvyO
「プロデューサーさんは、今28歳ですよねぇ」
「まゆが16歳です。 12歳差ですよね」
「……? それがどうかしたのか?」
4:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:46:44.28 ID:vrlgUmvyO
まるでこの世の終わりが今すぐ来ると教えられたかのような口ぶりでまゆはそう言った。いや、ちょっと待て。
「俺とまゆは1年前に知り合ってるんだから、お前の知らない俺は15年だろ」
「あぅぅぅ……」
5:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:47:11.86 ID:vrlgUmvyO
そこまでは気づいてなかったと言わんばかりにまゆは呻く。時々思うんだが、まゆは普段はピシッとしてるんだがこういう風に時々抜けてるところがある。テレビの収録とか雑誌のインタビューではキッチリしてるのに、こうだ。ファンのみんなは知らないと思うがこういうとこも出していったほうが良いんじゃないかとプロデューサーとしては考える。
その度に胸の奥のほうで何か凄くもやっとしたものが這いずり回るので、未だにそれは現実のものとならないが。
6:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:47:38.23 ID:vrlgUmvyO
「と、ともかくまゆの知らないプロデューサーさんがいるってことで悩んでるんですよ」
「逆にさ」
「はい?」
7:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:48:33.50 ID:vrlgUmvyO
そう言って一息をつき、まゆは語り出した。今日学校であったことを親に話す子供のように嬉しそうに。
「プロデューサーさんって、いっつもちひろさんの淹れるコーヒーをブラックで飲んでますよね」
「ん? あぁ。大人だからな」
8:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:49:01.32 ID:vrlgUmvyO
「プロデューサーさん、水曜日だと機嫌良いですよね? 何でですか?」
「……よく分かったな、そんなこと」
「いつも見てましたから」
9:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:49:28.27 ID:vrlgUmvyO
「プロデューサーさん、よくコンビニの新商品買ってますよね」
「普通にコーラ買ったりしたほうが美味しいんだろうなぁとは思うけれどもなぁ。 やっぱり知らない味ってのはドキドキするんだよなぁ」
「ちなみに今まで一番美味しかった新商品ってなんですか?」
10:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:49:54.83 ID:vrlgUmvyO
これ以上客観的に自分のことを見させられるなんて恥ずかしくてたまらない。しかし不思議と不愉快な気持ちは無かった。むしろ喜びさえ感じていた。
11:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:50:22.29 ID:vrlgUmvyO
「でもダメなんですよ。 まゆがそういうこと知っていても、プロデューサーさんがもう止めてしまった、まゆの知らないことがあるかもしれません」
「そういうのが本当にあるのか、それとも無いのか、分かりません。 プロデューサーさんが無いって言ったって、それはまゆのための優しい嘘かもしれないですから」
「無限に枠が広がり続けるジグソーパズルです。 埋めた、って思ったのにそんなことは無くて」
12:名無しNIPPER[sage]
2016/02/17(水) 16:50:48.37 ID:vrlgUmvyO
そう言うとまゆは顔を伏せた。泣いているのかもしれない。
「俺でも知らない自分のことをまゆは知っていると思うけどな」
「まゆを買いかぶりすぎですよ」
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