13: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/02/19(金) 15:24:34.21 ID:KdggYUJB0
流石にいまはそんなことはしないが、デビューしたころの彼女はなにかがある度にデスクの下に潜っていた。
腕時計に目をやると、時刻は二十時を少し越えていて、ラジオの収録を終えた彼女がそろそろ帰ってくるころだ。
アルバムをちょうど読み終えた辺りで、事務所の扉が開く。
間もなくして彼女、森久保乃々が姿を見せた。声をかけようとして、彼女の肩口や鞄がひどく濡れていることに気付く。
P「お疲れさん……って、の、森久保、どうしたんだ、そんなに濡れて」
慌てて歩み寄る俺に、彼女は、ばつが悪そうに頬を掻いた。
乃々「お疲れさまです、ちょっと、通り雨に逢ってしまって」
P「傘、持ってなかったのか?」
乃々「折り畳みは持ってたんですけど、小雨だからいけるかと思っちゃって」
P「そう言う割には随分濡れてるじゃないか。はやく着換えてこい」
乃々「そうしてきます」
ついこの間、彼女は二十四歳の誕生日を迎えた。
華奢な体躯や丁寧に巻かれた髪なんかは当時からあまり変わっていないものの、身にまとう雰囲気はすっかり大人びた。
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