過去ログ - 少年「ぼくんちに勇者様が一泊した」
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5:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:28:49.66 ID:gNZNa3Oko
ぼくは眠れなかった。
お父さんとお母さんからは勇者様は疲れてるから絶対に邪魔しないように、と言われてたけど
どうしてももう少しだけ話を聞きたかった。
6:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:30:49.32 ID:gNZNa3Oko
勇者様は二階の一番奥の部屋にいる。
ぼくは音を立てないようにゆっくりと部屋に近づく。
7:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:32:59.07 ID:gNZNa3Oko
部屋の前に着いた。
勇者様は「もし何かあったら、すぐ私を起こして下さい」とカギをかけてなかった。
それを聞いた時も、ぼくは勇者様ってすごい、と感心した。
8:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:36:26.03 ID:gNZNa3Oko
わずかに開いたドアから、中を見る。
部屋の中は暗かった。
ベッドの布団は盛り上がっていて、勇者様がいることは確認できた。
9:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:38:46.80 ID:gNZNa3Oko
「怖い……怖いよ……」
勇者様の声だった。
10:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:41:33.61 ID:gNZNa3Oko
この時、ぼくが何を思ったか。それは分からないし、覚えてない。
ビックリしたのだろうか、ガッカリしたのだろうか、勇者様も怖がるんだと微笑ましかったのだろうか。
もしかしたら、どれでもなかったのかも。
11:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:45:46.58 ID:gNZNa3Oko
勇者様の表情はひどく頼りなかった。
見られちゃいけない場面を見られてしまった……そういう顔だったのは確かだった。
だけどすぐにいつもの勇者様の顔に戻ってくれた。
12:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:48:29.04 ID:gNZNa3Oko
ぼくは勇者様の手を取り、ぼくんちを出て、すっかり寝静まった町を走った。
勇者様もぼくに付き合ってくれた。
「こっちです、勇者様」
13:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:50:48.67 ID:gNZNa3Oko
町外れにある、二つの大きな岩。ここがぼくの目的地。
岩と岩の間にあるわずかなスペースに、ぼくが木の枝を組み立てて、葉っぱや布切れを屋根にして作った、
小さな隠れ家だった。
14:名無しNIPPER[saga]
2016/02/21(日) 18:54:16.71 ID:gNZNa3Oko
ぼくは勇者様を中に招き入れた。他人を入れるのは初めてのことだった。
友達にだってこの場所は教えてない。
「ここなら、絶対見つかりません! 食料だってあります!」
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