過去ログ - 魔王「最善の選択肢と、悪魔の望む回答」　 -SS速報VIP

過去ログ - 魔王「最善の選択肢と、悪魔の望む回答」　

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1: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:14:27.78 ID:L+LhIJlx0

――聖王国

美しく豊かな国、聖王国。
賢く民思いの王が治めるこの国に、一人のお姫様がいた。

姫「お兄様―！」ﾀﾀﾀｯ

兄王子「姫。　……コラ！」ﾍﾟｼﾝ

姫「きゃっ」

兄王子「廊下は走っちゃいけません。……そうだろう？　レディ」

姫「えへへ……。　はーい！」

姫には兄が一人。
本人は厳しくしているつもりらしいが、姫にとってはよく可愛がってくれる優しい兄だ。

兄王子「それで、どうしたんだい？　何か僕に用事？」

姫「あのね、お兄様。お母様がドレスを新調してくださることになったの！　生地とデザインを選ぶのを手伝ってくださらない？」

兄王子「うーん。手伝ってあげたいけど、今は少し忙しいんだ」

姫「ご用事ですか？」

兄王子「父君に呼ばれていてね。……先日に軍師と話していた、魔王国との防衛線の強化の件じゃないかと思ってる」

姫「そう……。御国のことだったら、邪魔するわけにもまいりませんね…」

兄王子「いい子だね、姫。理解してくれて助かるよ」

姫「私では口を挟めない事ですもの。……御国を守る大切な仕事だとわかっているわ。応援してるね、お兄様」

兄王子「うん。姫のためにも、国のみんなのためにも…いつか父君のような王になるためにも、しっかり勉強してがんばってくるよ」

姫「えへへ、はい！！　でも、お手が空いたら　是非いらしてくださいね！！」

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2: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:16:03.74 ID:L+LhIJlx0

兄王子が苦笑しながら片手を挙げて去っていくのを、元気よく手を振って見送った。
その後で小さく、ため息をついてしまう。

3: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:16:36.44 ID:L+LhIJlx0

姫「あら？　……今、庭先に　何かの影が」

視界の端。ふと廊下の窓から見えた影を追って、中庭への階段を降りていく。

4: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:17:43.62 ID:L+LhIJlx0

―――――――――――――――――――――

半刻後　中庭。

5: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:18:20.28 ID:L+LhIJlx0

「木登りだなんて、姫はいつまでたっても　お子さまだね」

忍び笑いとともに優しい声が響いて、そちらを振り返る。

6: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:18:59.32 ID:L+LhIJlx0

姫「は、母君までいらっしゃったの…！？」

兄王子「当たり前だよ。姫に何かあったなら、僕たちみんな駆けつけずには居られないさ」

7: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:19:51.62 ID:L+LhIJlx0

―――――――――――――――――――――

ある初春の日。

8: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:20:23.08 ID:L+LhIJlx0

自室に戻ってからも、その喜びをこらえきれずに落ち着きなくすごしていた。
そんな時にノックの音がしたので、兄王子が部屋に入ってきたのを飛びつくようにして出迎えた。

9: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:21:11.64 ID:L+LhIJlx0

兄王子「大丈夫。国中の兵士達が数ヶ月をかけて、とても慎重に“穢れ”を取り除いている」

姫「穢れ…？」

10: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:22:18.69 ID:L+LhIJlx0

―――――――――――――――――――――

初夏。
降雨祈願の為の参詣行列が、ついに出発した。

11: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:23:07.47 ID:L+LhIJlx0

后「御祈願は朝一番。それから７日間毎日続くのよ。今からそんなに気を張り詰めていては倒れてしまうわ」

姫「は、はい…」

12: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:24:01.02 ID:L+LhIJlx0

こんな危険な行事が例年実施されるのは、もしかしたら城中の女性にとって祈願以上に重要な意味があるのかもしれない
そんなことを思いながら別邸を後にする。

13: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:24:51.74 ID:L+LhIJlx0

―――――――――――――――――――――

７日間に及ぶ降雨祈願の儀式はつつがなく執り行われた。
湖の正面につくられた祭礼台に儀式終了を終える枝葉が飾られて、どこか寂しげに風に揺れている。

14: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:27:22.18 ID:L+LhIJlx0

その後で姫は自室に戻って、昼食代わりにお菓子で膨らませた腹を休ませていた。

姫（とは、いったものの…）

15: ◆OkIOr5cb.o[sage saga]
2016/02/22(月) 16:30:59.72 ID:L+LhIJlx0

初投下はここまでです。

◆WnJdwN8j0.さんと、同じテーマで書き比べて遊んでいます。読み比べも大歓迎です。
以下　◆WnJdwN8j0.さんのスレ→

16:名無しNIPPER[sage]
2016/02/22(月) 16:34:46.48 ID:ARyBOwzF0
乙乙

17: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 20:36:59.50 ID:zUoOI/kM0

―――――――――――――――――――――

湖のほとり

18: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 20:37:29.26 ID:zUoOI/kM0

舞を終えて、もう一度礼をする。
そこでようやく目を開け、視線を上げて湖を見ると……

19: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 20:37:56.20 ID:zUoOI/kM0

―――――――――――――――――――――

あははは・・・

20: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 20:38:27.46 ID:zUoOI/kM0

姫「～～～～あ、あのっ」

ようやくなんとか姫が口を開くと、ほとんど同時に騎士も話しはじめた。

21: ◆OkIOr5cb.o[saga]
2016/02/23(火) 20:39:02.42 ID:zUoOI/kM0

姫「ふふ…かわいい」

騎士「喜んでもらえるだろうか？」

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