過去ログ - P「南条光とカラオケで楽しむ」
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2:名無しNIPPER[saga]
2016/02/24(水) 14:45:23.73 ID:Z50vb1jJ0

 食事シーンごっことは、俺たちの間だけで使われる符丁だ。

 光が愛してやまないヒーロー物のなかには、およそ子供向けとは思えない凄惨かつショッキングで、勧善懲悪や既存の価値観に対してアンチテーゼを提示する展開が割と存在する。

 そんなシナリオを書くのが得意なある脚本家は、ベッドシーンを描く代わりに食事シーンを挟んでいるそうだ。

 そもそも男女の交わりが展開上必要となるヒーロー物とは何だと言いたくなるが、符丁の意味はつまりそういうことだ。

 予定が決まれば長居する理由はない。お代をさっさと精算し、光の小さい手を取って駐車場に向かった。

 光を後ろのシートに座らせて、すばやくエンジンをかける。

「寝てていいぞ。着いたら起こす」

「……ありがとう」

 いつもの光なら「相棒なんだから座ってナビしてあげたい」とか言って助手席に座ろうとする。

 そうでなければ、車をモチーフにした特撮の曲を歌って、ドライブを楽しもうとする。

 が、今日の光は借りてきた猫のようだ。

 これからする二人だけの秘め事に期待と緊張を抑えきれていないからだ。

 車を走らせること数十分。ビルの林に見え隠れした、アイドル活動の為に転校してきた中学校の校舎を無視して、反対のうらぶれた方向へハンドルを切った。


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