過去ログ - 初月「エイハブ船長にでもなったつもりか?」
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42: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/09(水) 01:50:02.16 ID:4XAGZLOMO
冷たい。
最初に感じたのはそれだった。幸いだったのはすぐに自分が海に落ちたことに気づいたことだ。

海面から顔を出し、調査船の方へ首を向ける。転覆した哨戒艇が見えなかったがどうでもいい。

以下略



43: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/09(水) 01:50:39.96 ID:4XAGZLOMO
よくよく目を凝らして見れば、奇妙に角張って、口からなにかせり出している。それがなにかわかった時、やっとあの生き物の正体がわかった。

あれこそ調査船を沈めた潜水艦だ。口から出張っているのは魚雷。

信じられない。
以下略



44: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/09(水) 01:51:24.54 ID:4XAGZLOMO
あれは目? あの膜上の方が本体なのだろうか。ならあのクジラは艤装?

もっとよく見ようと目を細めると、奴は再び巨体を海中に隠してしまった。

俺は動くことができなかった。なにも考えることもできなかった。なにか衝撃的なことがあったが、なにがそんなに凄かったのかもよくわからない。
以下略



45: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/09(水) 01:52:26.04 ID:4XAGZLOMO
以上です。
またしばらく空きます。


46:名無しNIPPER[sage]
2016/03/09(水) 07:52:22.71 ID:450uSAWaO



47: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/14(月) 02:04:55.86 ID:BNW1QpmwO

「なかなかスリリングな視察だったよ」

少将は詰まらなそうに言った。それが第一声だった。

以下略



48: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/14(月) 02:05:45.12 ID:BNW1QpmwO
情けないことに調査船に拾われた俺はあの後でこの上官に口頭で事実を報告し、改めて報告書を送った。

それを読んだ彼はなにかがひどく気にかかったのか、わざわざ俺をこうして呼び出したのだ。

「そう。君は深海棲艦とマッコウクジラを誤認している」
以下略



49: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/14(月) 02:06:18.26 ID:BNW1QpmwO
確かにあれが姿を見せたのはほんの何秒かだから、よくよく見ないとクジラに思えるだろうし誰にもそんな余裕はなかったかもしれない。

「函館基地は激務だし、それに加えてあの事件だ。君も少しショックを受けてるようだ」

少将の目がきらりと光った気がして、思わず背筋を伸ばす。
以下略



50: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/14(月) 02:06:54.41 ID:BNW1QpmwO
この言葉で俺はすっかり絶望してしまった。
ついに俺は海軍で無能の烙印を押されたわけだ。次なんて一生来ない。

あれが深海棲艦かどうかなんてどうでもいいことだ。俺をひとまず窓際に行かせさえすれば、言い分などなんでもいい。

以下略



51: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/14(月) 02:07:36.79 ID:BNW1QpmwO
以来、基地では腫れ物のように扱われた。
あの熊野ですら俺に気を遣っていた。みんな俺を哀れみ、蔑んでいたような気がした。

あれほど大事なところでミスをしたバカなやつ。大失態だ。指揮官はとんだ無能。

以下略



52: ◆uLYDn.hAKU[saga]
2016/03/14(月) 02:08:17.51 ID:BNW1QpmwO
だけど、任地が変わっても心は晴れなかった。ここの奴らも、俺を馬鹿にしてる。そんな気がしてならない。
一度、ダメなやつというレッテルが貼られればもう剥がすことはできない。俺は大事な警備任務でヘマをしたダメなやつだ。

ここに来てから何ヶ月かは最悪だった。たぶん千代田の俺に対する印象は赴任当初から今に至るまで、変わってないはずだ。

以下略



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