過去ログ - 志希「フレちゃんがうつになりまして。」
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42:名無しNIPPER
2016/03/04(金) 01:12:56.83 ID:vCloKs7Lo
 いつでも筆記できるように即席ラボのあらゆる場所にクリッピングしておいた付箋にさらさらと筆をすべらせる。
 なんとなく医学レポートっぽい感じを出したくてドイツ語にしておいた。特に意味はない。
 あ、万一フレちゃんに見られても平気なようにってのはあるか。

 フランスのお人形(なぜかマトリョーシカが1匹混じってた。露仏同盟かな?)に囲まれたベッドに近づいて、掛布団をそっとめくる。
 お人形に負けないくらいキレイでなだらかな曲線を描く体はきゅっと丸まっていて。
 本人曰く寝癖でなったというあざやかな金髪はこれ以上ないくらいぼさぼさで。
 チャームポイントのくりくりしたまんまるの瞳は窮屈に閉じられている。
 額に脂汗をじわりと滲ませたフレちゃんは今まで見たことない険しい表情をしていた。

 丸まった背中にそっと手のひらをあてて一定のリズムで上下にさする。

「はーい、フレちゃーんちょっと触診するねー」 

「う……」

 手のひらにこつこつとした硬い感触が伝わってくる。

「おーだいぶ背骨が浮き上がっちゃってるねー。よしよし、ダイエットはここまでにしておいて今日は流動食にチャレンジしてみよっかー」

 キッチンに戻って、コンロに火をつける。
 てってってーてってってってれー。
 突然ですが志希ちゃん3分クッキングのお時間です。
 本日は3分で誰でも作れる簡単お料理をご紹介します。
 まずは鍋に火をつけまして30秒。そのあいだにご飯を炊く準備をするふりをしましょう。
 そうしているうちに30秒たちましたね。
 はい、予め用意しておいたものがこちらのおかゆになります。おしまい。

「調理も調合も組み合わせて1つのものを作るって点ではまぁおんなじようなもんだよねー。あーでも真心なる非科学的な成分を込めれば不思議な化学反応を起こすってとこは違うのかな?」

 逆説的に考えればあたしの料理が通用すればあたしなんかにも真心があるっていう証明になるのかなー。
 それはなんだかちょっと興味あるなー。
 それじゃ早速フレちゃんに検証してもらおっか。

 フレちゃんの華奢な体を抱き起こす。
 スプーンにほかほか湯気がたつおかゆをのっけて、蒼白い唇の近くまで運ぶ。
 
「はーい、あーん。どぅ、とろわー。なんちゃってー。フレちゃん今度このネタつかっていいよー、にゃはは」

 フレちゃんはあたしの手元をじっと見つめてからスプーンを口に含む。
 くっ、とおかゆが通り抜ける音が、か細い喉の奥で鳴った。


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